ドワイヤール / Doyard

 コート・デ・ブランにおいてこの価格帯で、これほどの品質の高い真のプルミエ クリュはほとんど皆無と言ってよい。偉大な熟成ポテンシャルを持つ、真の素晴らしいワイン。なんとも忘れられないレガシーだ!

ドワイヤール

 

シャンパーニュ黎明期と新時代をリードしてきた先人の偉大な功績

ワイナリーの歴史の始まりは第一次世界大戦後の1927年。仙台のモーリス・ドワイヤールはヴェルテュに畑を購入して自社瓶詰めを開始し、1941年にはモエ&シャンドン社のド・ヴォギュエ氏と共にCIVC組合(シャンパーニュ委員会)の生産者代表となった。以上の功績から戦後のシャンパーニュ発展の黎明期を担った重要人物としてドワイヤール の名は知られている。その後、時代を経て現在のシャンパーニュの潮流を生み出し、生産者にも飲み手にも大きな影響を与えた生産者団体Les Artisanss du Champagne発足の際にも、ドワイヤール は初期メンバーとして名を連ねており、生産者達からの信頼は非常に厚い。現在に至るまで、過去の偉大な功績と歴史を礎として、それに甘んじることのない姿勢でさらなる表戦を重ねている。

兄から弟へ 引き継がれる挑戦のスピリッツ

長い歴史の中で、品質を一段と引き上げる大きな転換期となったのが2006年の世代交代である。3代目シャルルはドワイヤールをさらに高い次元へと導くべく、所有畑をオジェ、ル・メニル・シュール・オジェ、アヴィーズ、クラマン、アイを含めた11haまで拡大することを実現した。現在はシャルルの弟であるギヨームがさらなる昇華を遂げるべく果敢な挑戦を続けている。とりわけ土壌の活性化に注力し、できるだけ手を加えないが、あくまでも「独断的ではない」ビオディナミを栽培のモットーとし、馬での耕作等を取り入れている。コート・デ ・ブランでは珍しく、ほぼ全てのシャルドネをコルドン仕立てで栽培し、これによって収量を自然と低めに抑え、凝縮度の高いブドウを生み出した。セラーでは各区画に分けて醸造を行い、ベースワインは、全てCuvee(フリーランジュース)から造られる素晴らしいものであるのが大きな特徴である。アルコール発酵にはステンレスタンクとバリックを併用している。オークを使用することでワインに丸みを与え、アロマをより複雑にしている。また、発酵の段階から長い間澱と接触させることこでフレッシュさを保ちつつも旨味をしっかりと引き出している。アロマのポテンシャルを最大限引き出すためにNVであっても約5年と非常に長い瓶熟を行うことも特徴であり、「泡は口の中で勢いよく弾けるものではなく、あくまでもハーモニー、その他の要素との統合が大切」と考え、上質でエレガントなテクスチャーを保つためにガス圧も通常6気圧のところ控えめで4.5-5気圧にしている。引き継がれても途切れることのない、この終わりなき進化から私たちは決して目を離すことができない。