シャトー・ラヤス / Chateau Rayas

Chateau Rayas
シャトー・ヌフ・デュ・パプの神話的生産者
南フランス、ローヌ地方の銘醸地 シャトーヌフ・デュ・パプ(Châteauneuf-du-Pape)。力強く濃厚なグルナッシュ主体の赤ワインが有名なこの地において、シャトー・ラヤス(Château Rayas) は異彩を放つ存在です。多くのシャトーが南向き斜面や石の多い「ガレ・ルーレ(土壌に敷き詰められた丸石)」を特徴とするのに対し、ラヤスの畑は砂質主体・北向き斜面・森林に囲まれた冷涼な微気候という極めて特異な条件にあります。その結果生まれるワインは、濃厚さよりも「透明感・フィネス・霊妙さ」が際立ち、世界のワイン愛好家にとって唯一無二の体験を与える存在となっています。10数種類もの品種を混醸することが認められているシャトー・ヌフ・デュ・パプにあってグルナッシュ100%で、しかも自然酵母のみで発酵させたワインを造り上げるという稀な造り手であり、尋常でないほどのこだわりと労力を持ってワイン造りに当たっております
連綿と続くシャトーの歴史
ラヤスの物語は1880年、アヴィニョンの公証人であった アルベール・レイノー(Albert Reynaud) が聴覚を失い、第二の人生としてワイン造りに転じたことから始まります。彼が購入した小さな畑が、やがて南ローヌで最も神秘的なドメーヌの基盤となりました。1920年代にその子 ルイ・レイノー(Louis Reynaud) が瓶詰め販売を本格化させ、1930年代には ドメーヌ・デ・トゥール(Domaine des Tours) を、1945年には北部オランジュ近郊に シャトー・ド・フォンサレット(Château de Fonsalette) を取得し、レイノー家の基盤を大きく広げました。
1978年に三代目 ジャック・レイノー(Jacques Reynaud) が継承し、彼の時代にシャトー・ラヤスは「異端の名酒」としての名声を確立します。ジャックは徹底して伝統を守りつつ、グルナッシュ100%による純粋な表現を貫き、世界中の評論家から称賛を浴びました。特に1978年や1990年などのヴィンテージは ロバート・パーカー によって100点満点を獲得し、ラヤスは一躍「シャトーヌフの伝説」となりました。1997年にジャックが急逝したのち、後継者不在を経て甥の エマニュエル・レイノー(Emmanuel Reynaud)がドメーヌを継ぎ、現在はその息子 ルイ=ダミアン・レイノー(Louis Damien Reynaud) とともに畑とセラーを守っています。今日もなお、ラヤスは閉鎖的で秘密主義的な姿勢を崩さず、神秘性を保ち続けています。
そのシャトー・ラヤスの現在のオーナーであり栽培・醸造に献身的なまでに身を捧げているのが、エマニュエル・レイノーその人です。1997年に惜しまれつつこの世をさったジャック・レイノー氏の甥にあたり、偉大な先代がそうであったように非常に気難しい性格ながらも常人離れしたこだわりを持ってワイン造りに当たる職人的生産者です。現在では、父、叔父からシャトーを引き継いだエマニュエルが3つのシャトーを運営しています。畑は人里離れた森の中に位置し、シャトーヌフ・デュ・パプの特徴ともいえる丸石が見当たらない痩せた砂質土壌、また森に囲まれていて寒暖の差が激しい環境のため、ブドウがゆっくりと時間をかけて成熟するので、他のシャトーヌフ・デュ・パプの生産者よりも収穫時期が遅くなります。
ラヤスの神秘を生む特異なテロワール
シャトー・ラヤスの畑は、シャトーヌフ・デュ・パプの中心地に約13ヘクタールを所有しています。一般的なこの地域の土壌はガレ・ルーレと呼ばれる丸石で覆われていますが、ラヤスにはそれがほとんどなく、砂質土壌とシルトが主体です。これによりワインは軽やかで繊細、そしてミネラル感に富んだ性格を持ちます。さらに、畑は北向き斜面に位置し、周囲を森に囲まれています。南仏の強烈な日差しを避け、冷涼な空気が流れ込むことで、ブドウはゆっくりと成熟し、酸と果実味のバランスを保ちます。この微気候条件こそが、ラヤスの「異端的エレガンス」を生み出す最大の要因です。
植密度は約2,500本/haと高めで、根の競争が品質を高める設計となっています。栽培されるブドウの大部分は「グルナッシュ」であり、赤ワインは基本的に100%グルナッシュで仕立てられます。白ワインにはグルナッシュ・ブランとクレレットが少量植えられています。
ここから生み出されるシャトー・ラヤスのワインは、D.R.C. にも劣らない香りの複雑さを持ち、パワーとエレガンスが共存した究極のバランスを体現しています。
エマニュエル・レイノーの代表キュヴェ
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