カベルネ・ソーヴィニヨン

Cabernet Sauvignon
世界で最も広く栽培される黒ブドウ——ボルドー左岸が磨いた、骨格と長熟ポテンシャルの王者
カベルネ・ソーヴィニヨンは、フランス・ボルドー左岸地区(メドック・グラーヴ)を原産とする黒ブドウ品種です。17世紀頃にカベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配によって生まれたとされており、現在では世界で最も広く栽培される赤ブドウ品種となっています。カリフォルニア、チリ、オーストラリア、イタリア、スペインなど主要なワイン産地のほぼすべてで栽培されていますが、ポイヤックやサン・ジュリアンをはじめとするボルドー左岸の砂礫質土壌が、この品種の最高峰の表現を生む場所とされています。
果皮が厚く、タンニンと色素が豊富なカベルネ・ソーヴィニヨンは、若いうちは強い骨格を持ちますが、長期熟成によってタンニンが溶け込み、複雑で気品のある風味へと変容します。晩熟の品種であるため温暖な気候が適しており、ボルドーではメルローやカベルネ・フランとのブレンドが伝統的なスタイルです。
力強さの中に宿る品格——カシスと杉の木、長い熟成が生む複雑さの頂点
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、カシスやブラックチェリーなどの黒系果実のアロマに、杉の木やタバコ、グラファイトのニュアンスが重なる複雑な香りが特徴です。しっかりとしたタンニンと豊かなボディが骨格を形成し、熟成とともにチョコレートや革、スパイスなどの風味が加わります。ムートン・ロートシルトやラトゥールなど左岸の格付けシャトーに代表される長期熟成型のボルドーワインは、赤ワインの中でも最も長命なスタイルのひとつとして知られています。