ルロワ / Leroy

Leroy

言わずと知れたブルゴーニュのトップに君臨するドメーヌ

 ドメーヌ・ルロワ(Domaine Leroy)は、ブルゴーニュを代表する生産者の中でも最も高い評価を受ける造り手のひとつであり、その名は世界のワイン愛好家やコレクターにとって特別な響きを持っています。生産量が極めて限られているため市場での入手は困難を極め、流通する際には瞬く間に完売してしまうことも珍しくありません。ブルゴーニュの歴史を背負いながらも独自の哲学と徹底した品質主義を貫き、唯一無二の存在感を放っています。ルロワの歴史は19世紀に遡り、メゾン・ルロワとしてスタートしました。20世紀後半に入ると、ラルー・ビーズ=ルロワが家業を継ぎ、自ら畑を取得して1988年にドメーヌ・ルロワを設立。これにより単なるネゴシアンではなく、自社畑から世界最高水準のブルゴーニュワインを生み出す生産者として歩み始めました。さらに彼女はかつてドメーヌ・ド・ラ・ロマネ=コンティ(DRC)の共同経営者でもあり、その経験はルロワのワイン造りにも活かされています。所有畑は約22〜23ヘクタールと小規模ですが、その内訳は驚くべき豪華さを誇ります。ミュジニー、リシュブール、ロマネ=サン=ヴィヴァン、クロ・ド・ヴージョ、クロ・ド・ラ・ロシュ、そして白のコルトン=シャルルマーニュといった、ブルゴーニュを代表する特級畑や一級畑ばかりです。これらの畑は石灰質や粘土質が混ざる複雑な土壌を持ち、ブドウの根が深く張ることで、凝縮感と同時にミネラル感や透明感を備えた果実が育ちます。

 ルロワの最大の特徴のひとつは、徹底したビオディナミ農法です。除草剤や化学肥料は一切使用せず、土壌の生命力を最大限に尊重する栽培を徹底。畑は常に人の手で丁寧に管理され、収量は極端に抑えられています。しばしば平均収量はヘクタールあたり15ヘクトリットルを下回るとされ、これはブルゴーニュの一般的な生産量の半分以下にあたります。その結果得られるブドウは極めて凝縮度が高く、ワインに唯一無二の存在感を与えています。

 醸造においてもプレシジョンとミニマリズムが貫かれています。発酵は天然酵母に任せ、温度管理も必要以上に操作せず、ワインが自らの個性を引き出すのを待ちます。樽熟成には新樽も惜しみなく用いられますが、木樽の風味が果実を覆い隠すことはなく、あくまで調和を重んじています。清澄や濾過は最小限に抑えられ、果実本来のピュアさとテロワールの個性がそのままボトルに閉じ込められます。完成したルロワのワインは、緻密でありながら驚くほどの透明感を備えています。若い段階では赤系果実や花の華やかなアロマが際立ち、時間とともにスパイス、森の下草、トリュフやタールといった複雑なニュアンスが現れます。タンニンは絹のように細かく、酸とのバランスも絶妙で、飲む者に気品と深い余韻をもたらします。最良のヴィンテージでは20年、30年、あるいはそれ以上の熟成に耐えるポテンシャルを秘め、熟成によってさらに荘厳で崇高な姿へと変貌します。

 ドメーヌ・ルロワは「ブルゴーニュの頂点」という表現が決して誇張ではない造り手です。妥協なき栽培と醸造、そして長期熟成に耐える気高さを備えたワインは、飲む者に圧倒的な体験を与えます。市場に流通する数が限られているからこそ、その価値は年々高まり続けています。お客様にご案内できる機会があるとすれば、それは真に特別な瞬間であり、ブルゴーニュの真髄を体感するまたとない機会となるでしょう。

ルロワの代表キュヴェ

1996 マジ・シャンベルタン

1989 クロ・ド・ヴージョ / ドメーヌ・ルロワ


1998 ラトリシエール・シャンベルタン / ドメーヌ・ルロワ

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