コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ / Comte Georges de Vogue

Comte Georges de Vogue
シャンボール最高の作り手
ブルゴーニュでもとりわけ繊細でエレガントなワインを生み出す地と言われるシャンボール・ミュジニーにおいて最大級のドメーヌとして君臨するコント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ。ドメーヌの歴史は1450年まで遡り、今日のドメーヌ名となっているジョルジュ・ド・ヴォギュエ伯爵が継承したのは1925年です。
現在、ドメーヌを所有しているのはヴォギュエ伯爵の孫娘たち。運営については、醸造責任者のフランソワ・ミエ氏、栽培責任者のエリック・ブルゴーニュ氏、販売担当者のジャン・リュック・ペパン氏の3名がそれぞれ担当していましたが、フランソワ・ミエ氏は2021年末に引退し、現在はジャン・ルパテッリ氏がその意思を継いでいます。特級畑ミュジニーの区画の70%に相当する7.2haを所有。ボンヌ・マールも2.7ha所有しており最大の所有者、レ・ザムルーズは0.56haと、シャンボール・ミュジニーを代表する畑の数々を所有しています。
フランソワ・ミエの功績
1960年代から1980年代ごろまで、ヴォギュエは一時的に低迷の時期を迎えます。しかし1986年より醸造責任者を務めたフランソワ・ミエ氏の手により、見事に復活。彼が実践した改革とは、生産量を抑え、その年の条件に合わせた造り方に変えることでした。また、シャンボールのエレガンスを強調するため、新樽の使用率を落としブドウが持つ本来の味わいや香りを引き出しました。フランソワ・ミエは2021年末にドメーヌから退き自身の名を関したネゴシアンFrancois Milletを家族と共に運営しています。
フランソワ・ミエの代わりに醸造長に抜擢されたのは、2008年設立の新生ドメーヌ Decelle でワインメーカーをしていたジャン・ルパテッリです。彼もまた、ミエの意思を引き継いでシャンボール最高の作り手ヴォギュエでエレガンスに溢れたワインを生産しています。
優雅なブルゴーニュを体現するヴォギュエのワイン
ヴォギュエの栽培は、化学的介入を極力排したサステナブルなアプローチが基本です。区画別の収量制御と厳格な選果により、完熟しつつ酸の芯を保った健全な果実だけがセラーへ運ばれます。醸造では区画単位の小仕込みを徹底し、発酵容器や温度管理、マセレーションの長さをヴィンテージごとに微調整。熟成は樽が中心ですが、新樽比率はワインの骨格と香りの均衡を損なわない範囲で抑制的に使い分けます。清澄・濾過は必要最小限にとどめ、果皮由来の微量成分とミネラルが織りなす「シャンボールのテクスチャー」をそのまま瓶に写し取るのが要諦です。長く醸造責任者を務めたフランソワ・ミレは2019年に退任し、その後はジャン・リュパテリが引き継いでスタイルの精度をさらに高めています。いずれの時代にあっても、ヴォギュエの赤が示すのは、黒系果実の純度、スミレやアイリスのニュアンス、よく練れたタンニンが折り重なる立体感、そして数十年単位の熟成で現れるトリュフや森の下草の陰影です。ボンヌ=マールはより骨太でストラクチャーが強く、ミュジニーはしなやかな官能と精密な芯が同居します。
ヴォギュエの白についても、同じ緊張感と純度が基調にあります。若いうちは白い花や柑橘、白桃に、チョークを思わせる塩味のミネラルが伴い、時間とともに蜂蜜やナッツ、ハーブのニュアンスが顕れます。冷やし込みすぎず、上質なブルゴーニュ型のグラスで空気に触れさせると、香りの彩度が増し、舌の上での伸びやかな直線がいっそう鮮明になります。
代表的なキュヴェ
フラッグシップキュヴェの特級畑ミュジニー。樹齢25年以上のブドウのみ使用しており、「力強さをサテンのような滑らかさで包んだ」と表現され、雄大かつ繊細さの際立つ仕上がり。長期熟成にも耐えうるポテンシャルを持つ最も偉大なワイン。ミュジニーの区画のうち、プティ・ミュジニーはヴォギュエのモノポール。
特級畑ボンヌ・マールは、シャンボール・ミュジニーの赤土の多い区画。生み出されるワインは男性的なストラクチャーを備えながらも、繊細なスタイルが特徴。純粋な果実味に、力強くエレガントな味わい。
2003 シャンボール・ミュジニー 1er Cru レ・ザムルーズ
一級畑レ・ザムルーズは、特級畑ミュジニーに隣接する愛好家の多いキュヴェ。特級畑並みの品格を備えており、深遠な味わいが魅力。
特級畑ミュジニー・ブランは、2014年までは若樹で造られていたため、ブルゴーニュ・ブランとしてリリースされていたが、2015年ヴィンテージからにミュジニー・ブランとして復活。年間生産本数僅かな希少キュヴェ。



