ピエール・ブリセ

ピエール・ブリセ - Wine Library

Pierre Brisset

彗星の如く現れた注目のマイクロネゴシアン

2014年にファーストVTをリリースした2014年にファーストVTをリリースした新星のマイクロ・ネゴシアンであるピエール・ブリセ。ピエールはもともと家系がブドウ農家でも、ワイン学校で醸造学を修めたわけでも、どこかで修業していたわけでもなく、ブルゴーニュという土地でワインを作る身としては異例な経歴を持ちますが、ワイナリー発足に至るストーリーは彼のブルゴーニュへの溢れんばかりの情熱が伝わってきます。

 ピエールはもともとパリでインターネット事業を立ち上げ、ビジネスが軌道に乗った後は経営者として多忙な日々を送っていた。しかし、元来大のブルゴーニュ愛好家であった彼は、ワインを作りたいという気持ちを抑えることができず、10年越しの野望を叶えるために、2010年に自身のネットビジネスを売却することを決意。ちなみに売り先は日本ECコマース最大手の楽天です。その後畑の取得に向けて動き出したピエールは、足しげくブルゴーニュに通って幅広い人脈を築くも、畑を購入することの難しさに直面します。が、彼にはあきらめるという気は毛頭なく、それよりもブドウ購入からその活動を始めようとネゴシアンの立ち上げを決意。足しげく通ったかいがあってか、購入するブドウ畑の様子は熟知しており、納得いく畑から納得いくブドウのみを購入することができました。

初年2014VTから評論家大絶賛の圧巻のクオリティ

醸造施設、資材等は一切所有していないピエールは、ワインスタジオと呼ばれる共同施設を利用して醸造、熟成、ボトリング、出荷までを行なっています。シャトー・ド・ブリニー・レ・ボーヌと呼ばれるこの施設はボーヌの街とムルソーの中間に位置しており、オーナーは名クルティエの二代目ピエール・ムルジェとかの有名なドメーヌ・コント・ラフォンの当主ドミニク・ラフォン。 ピエールが高品質なワインを生み出すカギはこの環境にありあす。一つ屋根の下で醸造設備を複数人が共同で使用できる施設で、ラフォンやムルジェらがワインを作っており、職人さながら見て技を会得することと、そして意見・情報交換することでワイン作りができています。

偉大なテロワールの豊かさ、複雑さ、そして純粋さを限りなく忠実に再現するためセラーでは最低限のアプローチが行われます。ブドウは空気圧式で優しく丁寧にプレスし、白はバリックで醸造、熟成させ赤はステンレスタンクで発酵、バリック熟成。それぞれ無濾過で瓶詰めが行われる。アラン・メドーは「洗練された口当たり」「素晴らしいテクスチャー」と気品を感じさせるコメントをし、ジャンシス・ロビンソンのサイトではデビューVTから欠かさず毎年テイスティングを行っており、安定した高評価を与えています。現在、シャサーニュの一級畑モルジョを0.5haのみ購入し自社畑としてリリースするなど拡大を続けていますが、それでも生産本数が少ないため、ワイン評価誌などでの露出が少なく知る人ぞ知るマイクロ・ネゴシアンとなっているピエール・ブリセに今後世界の注目が集まることは間違いありません。