ジェラール・シュレール / Gerard Schueller

Gérard Schueller
ヴァンナチュールにおけるアルザスの鬼神
ジェラール・シュレール(Gérard Schueller)は、アルザス地方の自然派ワイン(ヴァン・ナチュール)を代表する生産者であり、その革新的なアプローチで知られています。1958年にジェラールが自社醸造を開始し、1982年から息子のブリューノがドメーヌに参画しました。彼らの畑は16世紀以来、除草剤や化学肥料を一切使用しておらず、その土壌は驚くほど柔らかく健全です。
収量を低く抑え、濃縮度の高いブドウから生まれるワインは、格調高い酸が奥行きある果実味を支え、高レベルでバランスが整い、気品とミネラル風味が溢れています。多くのキュヴェで亜硫酸添加はゼロ、添加する場合でも瓶詰め時に20mg/Lが上限とされています。平均収量は30~35hl/haで、所有する畑は計7haですが、自由奔放な発想で実験的なキュヴェを次々に生み出しています。白ワインは、3週間から1年のスキンコンタクトを経るものや、アルコール発酵が1年に渡るものもあります。
ジェラール・シュレールのワインは、最も純粋、かつ高次元にヴァン・ナチュールのあり方と精神、その偉大さと個性を実感させてくれる生産者の一人として自然派ワイン愛好家や専門家から高い評価を受けており、その独自のスタイルと品質で知られています。
ジェラールの死去と新たな機運
2022年4月にワイン業界に大きな悲しみをもたらしました。現在ドメーヌの指揮を取るのは息子のブリュノであり、彼は1980年代からすでにドメーヌに参画し、その天性の手腕を奮っていました。ブリュノのワイン造りにおける哲学は「自由」であること。とある時期、ビオディナミのアプローチを取り入れて畑仕事を行っていましたが、それでいて決してビオディナミの手法やフレームワークのために彼自身の発想が制限される事を望みませんでした。ブリュノ・シュレールにとっては、固定観念や権威から「自由」であることを常に求め、絶えることなく湧き上がるアイデアを実現することに情熱を燃やし続けています。
ジェラール・シュレールのおすすめワイン
①ピノ・ノワール LN012 / ジェラール・シュレール
醸造も終わり、ブルーノはキュヴェ名をどうしようかと考えていたある日、分析から帰ってきたワインの数値を見る と、亜硫酸無添加醸造にもかかわらず、亜硫酸トータル値が12ppmを示していたことから、名前を取っています。
②VDF リシィ / ジェラール・シュレール
ビオディナミ農法で栽培された買いブドウによるキュヴェ。 リースリングはMutzig産、シルヴァネールは Bernardswiller産。