ロベール・シュヴィヨン

ロベール・シュヴィヨン - Wine Library

Robert Chevillon

「ニュイ・サン・ジョルジュの王様」と称されるニュイの老舗ドメーヌ

ニュイ・サン・ジョルジュのお手本とも呼ぶべきドメーヌが、このロベール・シュヴィヨンです。レ・サン・ジョルジュ、ヴォークラン、レ・カイユ、ロンシエール、ペリエール、プリュリエ、シェニョ、ブースロと、村の南側と北側のそれぞれに素晴らしい1級畑を所有しています。

ロベールが父モーリスの下で働き始めた頃、ドメーヌの規模はわずか3haに過ぎず、それが今では13haまで広がりました。樹齢はいずれも高く、平均して50〜75年。ヴォークランには樹齢100年にもなる古木が植わります。この高い樹齢が自然に収量を抑え、ブドウの凝縮度に貢献しているのです。

ニュイを代表する偉大な一級畑を全て所有する稀有な存在

2000年に引退したロベールに代わって、今日、会社組織となったドメーヌの運営はふたりの息子、ドゥニとベルトランに任せられています。ドゥニがおもに栽培、ベルトランがおもに醸造を担当。ふたりとも寡黙な栽培農家といった風貌で、仕事に対するひた向きさがうかがえます。レ・サン・ジョルジュに加え、1892年にニュイの新しい村名を決める際、ニュイに組み合わせるクリマ名として、レ・サン・ジョルジュと最後まで争ったヴォークラン(つまりニュイ・ヴォークランが村名になる可能性もあった)と、レ・サン・ジョルジュの北に隣接するレ・カイユを合わせて、ベルトランはニュイの3大テノールといいます。どれもコート・ド・ニュイきっての重低音が効いたクリマだが、この3つの中ではレ・カイユが一番柔らかみがあり、ヴォークランがもっとも骨太。レ・サン・ジョルジュはその中間的な存在。こうした違いも、ロベール・シュヴィヨンのワインを並べて試飲すると一目瞭然に理解が可能となります。

栽培法はリュット・レゾネ。選果は畑で行い、100%除梗。10〜15度の温度で1週間低温マセレーションのうえステンレスタンクでアルコール発酵。1級畑のワインはおよそ30%の新樽を用い18ヶ月間の熟成。マロラクティック発酵終了後と瓶詰め直前の2回澱引き。清澄なし、無ろ過で瓶詰め。ロベール・シュヴィヨンの赤ワインはいずれもその高い樹齢がもたらす濃密感や緻密さが特徴で、長期熟成ポテンシャルに長けたスタイルです。しかし、ここ数年はこれまで通りの濃密なスタイルを保ったままよっり柔らかく比較的早くから楽しめるスタイルへと変遷しています。特級をもたないニュイのスペシャリストのため、これまではコアなファン層が多かった作り手ですが、ここ数年の間に市場での人気も鰻上りとなっており、カルト的な存在になる日もそう遠くないと予想されます。