ブルゴーニュの価格高騰とブルゴーニュに代わる銘醸地
「Gevrey Chambertin / Armand Rousseau ¥65,000」
以前勤めていた祇園のワインバーで数年前のワインリストを見たとき、当時の価格に改めてブルゴーニュの価格高騰を痛感しました。アルヌー・ラショーを例にすると数年での値上がりが目覚しく、中には1年間で取引価格が600%増加したキュヴェも見受けられました。もともと数多くの銘醸地を所有した名門ドメーヌであったが、エチケットを新しくし、味わいもクラシックからモダンに切り替えたとこ、当主の代替わり、評論誌での評価など様々な要因が重なり合って大きな注目を浴びたことで需要が大きく膨らみ上がったことが価格の大きな高騰に起因していると思われます。
これはアルヌー・ラショーに限った話ではなく、ブルゴーニュの価格高騰の理由を一言で表すなら「需要と供給のバランスの崩壊」です。もともとボルドーと比べ各ドメーヌの生産量は少なく気候の影響も受けやすいブルゴーニュで需要が高まると投資目的も増加し、土地の価格も高騰しています。AOPワインを生産できる葡萄畑の平均価格は1941万円/1haなのに対して近年取引があったClos de Lambrays は16億円/haだと報じられていました。そして、すでに一般人の手が届かない価格になっているブルゴーニュワインは、歴史的な低収量と言われている2021年を経てさらに高額になると予想されます。残念ながらブルゴーニュワインが過去の値段で購入できることはもうないと思われます。
ブルゴーニュに代わる新たな銘醸地
ブルゴーニュワインが超高級となった今、ブルゴーニュに変わるエレガントで美味しい、そして手ごろなワインを探し始めている方も多いのではないでしょうか。そう言う私もその1人です。しかし、「ブルゴーニュのような〜」「シャンボール・ミュジニーを彷彿させる〜」などの謳い文句に何度騙されたことでしょうか。冷静に考えるとブルゴーニュの同じ村の中でも作り手によって味わいは大きく変わるのだから、テロワールも国民性を文化も違う場所でそっくりそのままのワインが造られるわけがないのです。なので最近は全てがブルゴーニュのようでなくともブルゴーニュのように上質で複雑、そして興味が湧くようなワインを探すことにしています。その中で例えばブルゴーニュのようなエレガンスを持つバルバレスコ 、ブルゴーニュのような芯のあるミネラルを持つサントリーニのアシルティコ、ブルゴーニュのような上質な酸を持つチリのシャルドネなど共通する要素を持つワインに出会う喜びを見つけられます。最近試飲した写真のワインはヴィーニョ・ヴェルデというポルトガルのワインですが、溌剌とした酸と塩味を感じるミネラル感に上級のシャブリのような印象を抱きました。¥5000以下のワインとしてはなかなか出会えないワインを見つけて興奮しました。こちらのワインは近日、当ショップのラインナップにも加わるので是非チェックしてみてください!
上記以外にもオーストリアのヴァッハウやイタリアのエトナ、フランス国内でもジュラや南アフリカなど色々と銘醸地は数多くあるのでぜひ新たな銘醸地を探してみてください!
河本榮辰