ペアリングとマリアージュの世界(甘口ワイン編)

ワインを普段から楽しむ人の中にも甘口ワインは飲まない。という人が多いと思います。何かと軽視されがちな甘口ワインですが、そんな甘口ワインだからできるペアリング、楽しみ方があります。読み終える頃にはきっとあなたも甘口ワインを飲みたくなると思います!

甘口ワインといっても種類はいくつかあります。まずは、いくつかの代表的な甘口ワインを紹介いたします。

貴腐ワイン

ブドウにカビにより果肉の水分が飛ぶことにより糖度が高めて造られる甘口ワイン。甘さに加え、独特の香を楽しめます。シャトー ディケムに代表される「ソーテルヌ」、ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」、ハンガリーの「トカイアスーエッセンシア」の3種類を三大貴腐ワインと呼びます。

アイスワイン

アイスワインは、凍ってシャーベット状になったぶどうを使って造られたワインです。シャーベット状のぶどうは、糖分や他の成分が凍っていない液体の部分に濃縮されています。樹上で凍らせる場合は寒波が来るまで収穫を待たねばならず、生産量は通常収穫した場合の10分の1から6分の1程度ほどなので、非常に高価なワインになります。カビを利用し独特の香りを持つ貴腐ワインに対して、ピュアな味わいが特徴。

遅摘ワイン

時季を遅らせて収穫したブドウを使って造るワインが遅摘みワインです。「ヴァンダンジュタルティヴ」と呼ばれることもあります。ブドウは熟すにつれて糖度が上がっていくため、通常のタイミングよりも収穫を遅らせることで、糖度の高いブドウを収穫できます。このぶどうで出来るワインは、貴腐ワインやアイスワインほど極甘口にはならず、甘みを伴ったワインを造ります。

 他にも酒勢強化ワインなどいくつかの製法によってそれぞれの特徴を持った甘口ワインが生まれます。

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甘口ワインのペアリング 

甘口ワインは主に食後酒として呑まれるケースが多いです。デザートの甘味に寄り添うペアリングやチーズの塩味と相反させた甘さを際立たせるペアリングがあります。

例えば、洋梨などのコンポートなどの果物を使った甘い一皿にはクリーンでピュアな甘口ワイン「アイスワイン」を合わせてみたり、青カビチーズとのペアリングには同じようにカビの風味を感じさせる貴腐ワインを飲むと非常に合います。

フォアグラと甘口ワインのペアリングも定番です。フォアグラのネットリとした質感は甘口ワインとの相性が非常に良いとされます。

基本的に食事とワインのペアリングで食事がワインの甘味を上回ると果実の風味が打ち消され、あまりいいペアリングとは言えません。そのため、甘味のある食事を召し上がる際には合わすワインの候補に甘口ワインを入れてもいいかもしれません。

 

日本の料理と相性抜群

上記で紹介した通り、ペアリングを考えるうえで常にワインの甘味が料理の甘みを上回っていることが理想的です。そのため、ミリンや砂糖を多く使う日本の食事には比較的甘口ワインの出番が多いとされます。初めに紹介したような極甘口の場合は冷やし気味で、あっさりとした甘さを持つワインなら少し温度を上げるなどの温度帯によっても合わせられます。甘い酢飯を使う寿司とのペアリングでも残糖のあるリースリングなどの酸味を備えたワインを合わすと素晴らしいマリアージュを生みます。

 

甘口ワインは、通常のワインと比べ抜栓してからの日持ちが長いのも特徴です。ワインにもよりますが、1ヶ月は軽く持つものも多いです。冷蔵庫に一本常備しているだけで毎日の食事が少し贅沢になるかもしれません。

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