従来のローヌのイメージは濃厚で力強いフルボディの赤が一番に思い浮かぶ人が多いと思います。実際にグルナッシュを使った赤ワインの生産量が全体のおよそ半分ほどに及びます。近年はシラーを使用した北ローヌのエレガントな赤ワインの人気も高くボルドー、ブルゴーニュと並ぶフランスの銘醸地としての地位を確立しています。生産量のほとんどが赤ワイン、もしくはロゼワインです。
ロマネ・コンティやクレ・ド ・セランと同じく単独所有でアペラシオンを名乗るシャトー・グリエや、ヴィオニエの銘醸地コンドリューなどの優れた白ワインがあるにもかかわらず、ローヌにおいては白ワインの存在感は大きくはありませんでした。
ジゴンダスの白ワインがAOC認証獲得
この数年でローヌは地域全体として白ワインの生産に力を入れ始めています。顕著な例を挙げるとグルナッシュ主体の赤と僅かながらのロゼの生産が認められていたAOCジゴンダスにおいて白ワインが新たにAOCに加わりました。ローヌ全体で見ると、白ワインの生産量は6%ほどしか占めていませんが、ローヌ最大規模のワイナリーであるギガルでは生産量の約4分の1が白ワインです。また赤の名産地エルミタージュでも生産量の約35%が白と、部分的に白ワインの生産が盛んになってきております。
ローヌの白で主流なのはヴィオニエやグルナッシュ・ブランを使用した香り豊かで蜜っぽい濃厚なストラクチャーを持つワインでした。しかしローヌのワイン界を席巻している新進気鋭の若手生産者達はよりミネラリーで引き締まった白ワインの生産に力を入れています。
複数品種のアッサンブラージュが多く認められているローヌ
温暖化による気温上昇で赤ワインの生産量が減少傾向であるローヌにおいて、ルーサンヌの他にもクレレット、ブールブランなどの従来の補助品種で暑さに強く酸を失わない白ブドウは非常に重宝されています。特にシャトーヌフの白ではそれらの品種の使用が認められているため、酸を保持し長期熟成のポテンシャルを備えたエレガントなスタイルの白が積極的に生産されています。
ローヌでのそういった機運に加え、ブルゴーニュでの白の生産本数激減や価格高騰が重なり、ローヌ・ブランの需要はさらに高まることが予想できます。
ローヌ以外でも白ワインの生産が盛んに
赤ワインの銘醸地が白ワインにシフトしつつある傾向はローヌ以外にも見られます。例えば、スペイン随一の銘醸地リオハでも白ワイン生産に注目が集まっており、今後目が離せない地域の一つです。ブレンドスタイルと単一品種スタイルが混在するリオハの白ワインのなかにも、すでに偉大なワインの片鱗を見せるものを見つけることができます。