SRC(エッセルチ)

SRC(エッセルチ)
2013年設立ながら早くもエトナを代表する生産者の一人に
2013ヴィンテージのわずか3000本のワインから、SRC(エッセルチ)の歴史は始まりました。少しずつ生産量が増えているとはいうものの、2017ヴィンテージでも13,000本にしか届きません。生産量を毎年少しずつ増やす計画はありますが、職人的な仕事を続けるということに変わりはありません。
当主のRosario Parasilitiロザリオ・パラシリティ(愛称はローリ)は建築関係の企業を営む三代目でしたが、幼少のころから常に食卓にのぼっていたワインへの情熱がどうしても捨てきれず、2013年にクラサにある畑を購入、ワイン作りをはじめます。その際、同じエトナの生産者フランク・コーネリッセン氏からの「いかに畑での仕事が大切なのか」「ワイナリーの中では出来る限り介入を少なくするべき」など多くのアドバイスをもらい、大きく影響を受けています。
最初に購入したのは、ソリッキアータのクラサというコントラーダにある畑。非常に古い畑で、ネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カップッチョが、アルベレッロ仕立てで栽培されています。その脇には栗の樹が生えていて、アルベレッロの支柱にも栗の樹が使われています。同じエリアにある畑でも、どのくらい前からその畑にブドウが植えられていたかというのは非常に重要な情報で、どれだけごろごろとした溶岩の比率が高いのかが、その指標のひとつになります。その後購入した畑のなかには、畑を取り巻く環境としては素晴らしくても、1970年台に垣根仕立てに近い形に変えられてしまったものも含まれています。どうやら、アルベレッロ仕立ての素晴らしい畑を探すのは、そう簡単ではないようです。
SRCでは、ソリッキアータのクラサ以外にも様々なエリアに畑を所有しています。2017年から醸造を行っているランダッツォのカルデラーラにあるワイナリーの前の畑には、新しく植樹を行った一角があります。その畑の植樹密度は高く、すべてアルベレッロで、ローリの理想とする畑の実現に向けて、新たな一歩を踏み出しています。
SRCの動きはそれだけにとどまりません。山を分け入ってたどり着いた一角に、突如あらわれたテラス式の畑。昔ブドウが植えられていたことをあわらすものです。栽培家の減少とともにブドウが引き抜かれ林になっていましたが、それらを伐採、再びブドウ畑にしようと、土地そのものを購入しています。時間のかかるプロジェクトですが、これはSRCのワイナリー単体にとどまらず、エトナ全体でのブドウ畑の復興にむけ、一石を投じています。栽培には、創業当初から有機農法を採用しています。