Copy of アルチザン・シャンパーニュ 〜新時代を牽引するシャンパーニュ職人〜

- The Artisans -

アルチザン・シャンパーニュ

大手メゾンの独壇場であったシャンパーニュは、時代を経てテロワールを深く意識した小規模生産者が台頭し、より幅広い選択肢の中からシャンパーニュを楽しむことがスタンダードになりつつあると感じております。

世界第三位のシャンパーニュ輸入国である日本には数えきれないほど多くのシャンパーニュがあり、その中から自身のお気に入りを見つけ出すことも楽しみの一つとなっています。

しかし、中には小規模だからという理由だけで人気のでるシャンパーニュも増えている現状があります。そこで、以下の四つの条件をクリアした「アルチザン・シャンパーニュ(職人的生産者)」を6名紹介することで皆様によりおいしいシャンパーニュを見つけ出していただくお手伝いをさせていただきます。

アルチザン・シャンパーニュの条件

  1. シンプルに味が美味しいこと

  2. 生産者の"情熱"が感じられること

  3. "テロワール"の表現が明確であること

  4. 造り手自身がこの新たな時代の"リーダーシップ"を担う存在であること

 

 

かつてのグラン・クリュ- メルフィを現代に復活させシャンパーニュ新時代を代表するRMに上り詰めた最高峰

シャルトーニュ・タイエ



かつてのグランクリュ、メルフィとは

シャルトーニュ・タイエが位置するのはランスの北西に位置するメルフィという小さな村である。18世紀にはヴェルズネイやアイなど現在のグランクリュの村と同等の最高ランクの価格でブドウが取引されていたという輝かしい歴史を持つ。砂質をベースとした土壌のおかげでフィロキセラの被害もそれほど大きくなかったが、ランスの街やモンターニュ・ド ・ランスの村々を一望できる高台に位置していることから20世紀の二回の世界大戦で戦略的要地となり、ブドウ畑は徹底的に破壊された。1950年代にようやく畑が再建され始めたが、その頃にはかつての栄光とワイン造りがすっかり失われていまっていた。この地の利点は『土壌の多様性』。グランクリュの村の土壌がほぼ粘土とチョークで構成されているのに対し、メルフィは砂質を主体に海抜によって砂岩、粘土、石灰と様々なタイプの土壌が混ざり合いチョークの下層土を厚く覆っている。クオリティに関する歴史的根拠が確かで、同じ村でもブルゴーニュのように区画ごとのテロワールがこれほど多様な土地は滅多になく、唯一無二のオリジナリティあるエリアとなっている。

テロワール表現のこだわり

一度は栄光を失ったメルフィの名を世界に知らしめ復活させた立役者は、間違いなくシャルトーニュ・タイエのアレクサンドルだ。ジャック・セロスのアンセルムに師事したのち2006年に両親がいるワイナリーへ戻るとすぐに「自然環境を尊重したワイン造り」「ブドウの根をまっすぐ伸ばす生育環境」を実践。除草剤を使わずに馬を使った耕作や、葡萄樹一本につき4房の収量制限、多様な発酵容器を使用などを通して常にメルフィの個性を忠実にワインに反映することを徹底してきた。DRCやジャック・セロスと同じ世界的権威を持つクロード・ブルギニョンに土壌分析を依頼し、究極まで土壌と品種の相性を突き詰めるなどそのこだわりには枚挙に暇がない。この地の土壌組成と品種の相性を誰よりも熟知し、テロワールを表現するという新たな世界を創りだすことに成功し、世界中で揺るぎない評価と人気を獲得したアレクサンドル。彼のテロワールの表現は、現在リューディ・シリーズのリリースによって究極の域に達した。

 

  

グラン・クリュ ブジーで代々受け継がれた「母なる畑」から唯一無二のアイデンティティに溢れたシャンパーニュを生み出す表現者

ピエール・パイヤール



代々受け継いだ個性的な畑の表現

約250年間の長きに渡って代々受け継いできた由緒ある畑から作られたグランクリュシャンパーニュ で、その価値を世界に知らしめ驚きを与えたのは、8代目となる現当主のアントワーヌとカンタンの兄弟だ。ブジーに広がる彼らの所有畑で最も特徴的なのは、シャルドネ比率が非常に高いことにある。村全体ではピノ・ノワール89%、シャルドネ11%という栽培比率になるものの、ドメーヌでは11haある所有畑のうち、4割近い4haがシャルドネを占めている。これは決して昨今始まったことではなく、パイヤール家が所有する畑では昔から高い比率でシャルドネが栽培されていた。その理由は、コート・デ・ブランから続くピュアなチョークの母岩の上に、粘土の表土が薄く堆積するシャルドネの栽培に適したエリアがあり、パイヤール家はその部分に土地を多く所有しているためである。彼らはその個性を忠実に表現し、ブジーの中でも一際特別な個性を獲得している。

 アイデンティティの要 ふたつの単一畑×単一品種

ピエール・パイヤールのシャンパーニュを語るには、二つのリューディーの存在が欠かせない。シャルドネの区画"レ・モトレット"とピノ・ノワールの区画"レ・マイユレット"である。これらの古樹の区画を彼らは『母なる畑』と呼び、アイデンティティの要としている。所有する畑での植樹は全て、マッサール・セレクション(クローンではなく挿し穂による植樹方法)で行うが、その苗木は必ずレ・モトレットとレ・マイユレットのブドウの枝を用いる。それが『母』である所以であり、ドメーヌのスタイルとそのベースとなるブドウの遺伝子を後世に伝える重要な役割を担っている。また、この2つの畑から生まれるワインは後世に伝える重要な役割を担っている。また、この2つの畑から生まれるワインはそれぞれ単独で瓶詰めされており、単一品種でこのグラン・クリュの魅力を純粋に表現した個性あふれるブラン・ド ・ノワールとブラン・ド・ブランとしてリリースされ、世界中の多くのシャンパン愛好家を虜にしている。

 

 

 

 17世紀から受け継がれてきた誇り高きグランクリュ・ブジーの畑。劇的な品質向上でどこまでも飛躍する、今最も注目すべきライジングスター

ブリス シャンパーニュ



劇的な品質向上の立役者 現当主ジャン・ルネの挑戦

Briceは、ブジーを始めシニー・レ・ローズ、ロッシュ・シュール・オルスに12haの自社畑を持つ。ブジーにある8haの畑は、17世紀末から代々受け継がれてきた最も重要な畑である。現当主である12代目ジャン・ルネ・ブリスは、この重要な畑をしっかりと次世代に引き継いでいくため、畑の生物多様性の開発に取り組み、ブドウ畑の管理に対して取得が最も難しいとされるHVE3を取得するという偉業を成し遂げた。2022年には、ブドウ畑は完全にオーガニックに移行が完了している。父である11代目当主ジャン・ポール・ブリスがネゴシアンといても活動し、生産量を拡大させるた一方で、ジャン・ルネは就任後、より品質の向上にフォーカスし、有能な醸造家クリストフ・コンスタンの招致や、高品質なセラーなどの設備投資を積極的に行った。それによって世界から注目と称賛を集めている。

職人的醸造家の筆頭 クリストフ・コンスタンの貢献

シャンパーニュ屈指の醸造家として名高いクリストフ・コンスタン。彼は携わる先々で革新的にクオリティを向上させてきた実績を持つ、まさに天才である。クリストフの信念は『最大限に成熟したブドウを収穫すること』。畑では、丁寧だが、自然でシンプルなブドウ作りを行い、農薬はビオディナミ栽培でも認められている銅と硫黄を使うだけである。醸造には区画ごとにプレスの仕方を微妙に調整し、同じ区画内でブレンドすることでテロワールを最大限に表現する。また、マロラクティック発酵を注意深く避けることで成熟した果実だからこそ得られる本来の力強さを活かしたポテンシャルの高いベースワインを造ることが、彼のスタイルだ。また、フィネスを表現できる必要最低限のドサージュを行うことも、ポリシーとして常に一貫している。2019年4月に彼が醸造責任者に就任し、ジャン・ルネとの強固な信頼関係の下で行った様々な改革により、シャンパーニュ・ブリスは瞬く間に大きな飛躍を遂げた。その勢いは、留まることがない。

 

 

 

 

ランスロ ・ピエンヌ

点在する畑の深い理解によってグランクリュ・クラマンの個性を見事に映し出すソレラシステムで貯蔵されたリザーヴワインを巧みに綾なす職人的醸造家

 

クラマンのテロワールを見事に表現

ランスロ・ピエンヌのラインアップはクラマンのシャルドネをメインに使用しており、最上のクラマンとして堪能することができる。恵まれた日照量によって生まれる柔らかく豊かな果実味と、力強くゆったりとしたミネラルが共存することで味わいの広がりが大きく、クリーミーな質感を持つことがクラマンの特徴と言われており、その全てが見事にボトルに込められている。創始者であるジャン・バティスト・ランスロ はもともとこの地のブドウの栽培化であり、その歴史は120年前に遡る。ワイン造りに対する彼の情熱は代々脈々と受け継がれ、2005からはジル・ランスロが4代目としてドメーヌの指揮をとっている。彼は点在する所有畑を細かに丁寧に理解し、より深いテロワールの表現を目指している。その一つ一つの仕事に表れる緻密さと精巧さは、まさに職人的と表現するにふさわしい。

リザーヴワインから生まれる唯一無二の複雑さと高い評価

リザーヴワインの貯蔵にはソレラシステムを使用しているため、ブレンドには1995年からのものが贅沢に使われている。この彼の取り組みから、唯一無二の複雑さとストラクチャーを持ち、はっきりと個性が溢れる魅力的なシャンパーニュが完成する。彼の取り組みは徐々に成功へと繋がり、理想的なクラマンのブラン・ド ・ブランを生み出すと数々の評論誌で絶賛されるようになって久しい。ワイン評論家ロバート・パーカーは「複雑なクラマンのテロワールを大変見事に表現している」「エレガントで引き締まっており、緻密で精巧なシャンパーニュ」と評している。すでに次世代を担うシャンパーニュ屈指の造り手として世界中が目を離すことのできない、要注目の生産者となっている。

 

 

ドワイヤール

 コート・デ・ブランにおいてこの価格帯で、これほどの品質の高い真のプルミエ クリュはほとんど皆無と言ってよい。偉大な熟成ポテンシャルを持つ、真の素晴らしいワイン。なんとも忘れられないレガシーだ!

ドワイヤール

 

シャンパーニュ黎明期と新時代をリードしてきた先人の偉大な功績

ワイナリーの歴史の始まりは第一次世界大戦後の1927年。仙台のモーリス・ドワイヤールはヴェルテュに畑を購入して自社瓶詰めを開始し、1941年にはモエ&シャンドン社のド・ヴォギュエ氏と共にCIVC組合(シャンパーニュ委員会)の生産者代表となった。以上の功績から戦後のシャンパーニュ発展の黎明期を担った重要人物としてドワイヤール の名は知られている。その後、時代を経て現在のシャンパーニュの潮流を生み出し、生産者にも飲み手にも大きな影響を与えた生産者団体Les Artisanss du Champagne発足の際にも、ドワイヤール は初期メンバーとして名を連ねており、生産者達からの信頼は非常に厚い。現在に至るまで、過去の偉大な功績と歴史を礎として、それに甘んじることのない姿勢でさらなる表戦を重ねている。

兄から弟へ 引き継がれる挑戦のスピリッツ

長い歴史の中で、品質を一段と引き上げる大きな転換期となったのが2006年の世代交代である。3代目シャルルはドワイヤールをさらに高い次元へと導くべく、所有畑をオジェ、ル・メニル・シュール・オジェ、アヴィーズ、クラマン、アイを含めた11haまで拡大することを実現した。現在はシャルルの弟であるギヨームがさらなる昇華を遂げるべく果敢な挑戦を続けている。とりわけ土壌の活性化に注力し、できるだけ手を加えないが、あくまでも「独断的ではない」ビオディナミを栽培のモットーとし、馬での耕作等を取り入れている。コート・デ ・ブランでは珍しく、ほぼ全てのシャルドネをコルドン仕立てで栽培し、これによって収量を自然と低めに抑え、凝縮度の高いブドウを生み出した。セラーでは各区画に分けて醸造を行い、ベースワインは、全てCuvee(フリーランジュース)から造られる素晴らしいものであるのが大きな特徴である。アルコール発酵にはステンレスタンクとバリックを併用している。オークを使用することでワインに丸みを与え、アロマをより複雑にしている。また、発酵の段階から長い間澱と接触させることこでフレッシュさを保ちつつも旨味をしっかりと引き出している。アロマのポテンシャルを最大限引き出すためにNVであっても約5年と非常に長い瓶熟を行うことも特徴であり、「泡は口の中で勢いよく弾けるものではなく、あくまでもハーモニー、その他の要素との統合が大切」と考え、上質でエレガントなテクスチャーを保つためにガス圧も通常6気圧のところ控えめで4.5-5気圧にしている。引き継がれても途切れることのない、この終わりなき進化から私たちは決して目を離すことができない。

 

 

カゼ・ティボー

2018年に初リリースから即座に注目を浴び世界中のシャンパン愛好家が熱狂するヴァレ・ド ・ラ・マルヌの超新星

カゼティボー




9年間の準備期間を経てリリース

カゼ家は、ヴァレ・ド・ラ・マルヌに10年間続く歴史あるヴィニュロンの家系である。1953年に現当主ファビアンの祖父にあたるロジャー・カゼがドメーヌを設立し、初めて自分でシャンパーニュを作り販売した。次の世代にあたるファビアンの父は自分でシャンパーニュを売るのをやめ、全てネゴスに販売していたが、ファビアンが父からワイナリーを引き継いだ2009年、自身のブランドとしてカゼ・ティボーを立ち上げた。しかし、すぐに自分のシャンパーニュを作り始めるのではなく、畑の状態を確認し、土壌を改善させて、自分のブドウに納得できるようになった2013年に初めて瓶詰めし、2018年に満を持してファーストリリース。そのクオリティは驚くべきものであり、即座に世界的な注目を浴びることとなった。

 ヴァレ・ド ・ラ・マルヌのテロワールを追求

マルヌ川右岸に位置する3つの村、シャティヨン・シュール・マルヌ村、ヴァンディエール村、ルイユ村に点在する15の区画を所有しており、所有面積は2,6haほどである。村の管理はほとんど手作業で、殺虫剤や農薬は使用せずオーガニック栽培を行っている。プレスした果汁に自然酵母のみを使い、アルコール発酵、MLFは全てオーク樽を使用する。ファビアンはステンレスタンクよりもオーク樽の方が果実、酸、樽のすべての要素がより統合されると感じるため、オーク樽の使用にこだわっている。またオーク樽のサイズも大きすぎると酸素が足りずフレッシュすぎる味わいになってしまうので、114L、228L、350Lの3種類のサイズを使い分ける徹底ぶりだ。それぞれの樽で実験を繰り返し最善だと思える味わい味わいを探していく。このサイズの樽が正解だというものはなく、観察と考察の繰り返しだとファビアンは言う。また、混植混醸からシャンパン作りを行うなど、このエリアで前例のない前衛的な試みにおいて、突出したクオリティのワインを生み出している。細部へのこだわりを見せるファビアンのフィロソフィーは「土壌への敬意、ワインへの情熱によってこの土地の個性を表現する」。その言葉からは自然に最も敬意を払い、それぞれの区画のテロワールを映し出すシャンパーニュを造ることへの美しく真っ直ぐな信念が強く感じられる。彼の手で表現されたヴァレ・ド・ラ・マルヌの魅力に世界が熱狂している。

 

 

 

シャンパーニュにおいて「クラフトマンシップ」という言葉は、J.L.ヴェルニヨンのためにある。


メニルの個性を活かしながら、若いうちから楽しめる

ほぼ2世紀にわたる5世代の間、家族経営によって守られてきたJLヴェルニョンはグラン・クリュのメニル・シュール・オジェ村に位置しており、畑はメニルを中心にオジェ、アヴィーズに計5.3haを所有している。2002年より醸造責任者となったクリストフ・コンスタンが栽培・醸造の根本的な改革を行うことで、年々目覚ましい発展を遂げている大注目株のワイナリーのひとつである。一般的にメニルのシャルドネは鋭く厳しい酸と細く硬いミネラルを持ち、飲み頃を迎えるまで時間がかかる。そのため、若い内はなかなかその魅力を楽しむことができず、通常は酸を柔らかくするためにマロラクティック発酵を行う。しかしながら、ヴェルニョンのシャンパーニュの最大の魅力は「早い段階から美味しく飲むことができる」ことであり、その秘密は「十分に熟したブドウを使う」という点にある。一見普通の言葉だが、クリストフの意味するところは他とは一線を画している。なぜなら、彼はメニルの個性を活かすため、マロラクティック発酵を一切行わずに鋭い酸と硬いミネラルを最大限に引き出し、それでいてそれらに負けないだけの豊かな果実味を持つ熟したブドウを育てているからである。この一見矛盾した二つの面を両立させることで、メニルの魅力が見事に詰まった、若い内から楽しめるシャンパーニュを造り出すことができるのだ。

“Salinité”(塩気)

「良いワインが良いシャンパーニュを造る」という非常にシンプルな考えを持つ彼、畑ではビオを意識しながらサスティナブル農法を実践。殺虫剤の使用を極力抑え、入念なカバークロッピングを行うことで収量は自然と低くなると語る。収穫は手摘みで行われ、伝統的な垂直プレス機での圧搾後、一部のキュヴェを除いて発酵は全てステンレスタンクで行われる。「ブドウの収穫後すぐに頭の中でイメージが完成している」というアッサンブラージュは翌6月に行われ、その後7月には全てのキュヴェを同時にボトリング。キュヴェごとに3~5年後の熟成を経た後に手作業によるデゴルジュマンが行われ、ドサージュは最小限に抑えられる。このようにして造られるヴェルニョンのシャンパーニュは、シャープな酸とミネラルが織りなすメニルの気品と、生命力あふれる活き活きとした果実味の共存を十分に味わうことができるものである。自身のシャンパーニュを一言で“Salinité” (塩気)と表現する彼のシャンパーニュはIWC誌からもその力強い直線的なミネラルが称賛され、WA誌でもとりわけその美しい酸とミネラルに由来する味わいのクリアさやブドウのピュアな力強さが大絶賛されている。著名なシャンパーニュ評論家のリチャード・ジューリンはクリストフの功績による近年のヴェルニョンの品質の向上ぶりに感嘆して4つ星を与え、とりわけ彼のシャンパーニュの熟成への期待が語られている。現在クリストフは退職し、その後醸造責任者となったのはジュリアン・グゥ。クリストフ同様、ミネラルと畑での作業を一番に考えるジュリアンはセロスやテタンジェ、アンリ・ジローといった名だたるワイナリーで研さんを積んできた。ヴェルニョンの更なる品質向上に余念のない彼の今後の活躍にシャンパン愛好家たちの期待が高まっている。

 

ラクルト・ゴドビヨン

 ビオディナミ栽培を導入し、「Less is More(少ないほうが豊か)」という信念の元、この村のテロワールを最大限に表現する生産者。生産本数は少なく、今後更に注目度が上がるにつれて入手困難になることが見込まれる新進気鋭の存在

lacourte godbillon



注目の産地エキュイユの新たなスター

エキュイユ村に約8haの畑を所有するラクルト・ゴトビヨン。リシャール・デヴィーニュとジェラルディーヌ・ラクルトの夫妻はリヨンでそれぞれ別の仕事をしていたが、ジェラルディーヌの両親のメゾンを引き継ぐため、共に退職をした。アヴィーズの醸造学校で1年間学んだ後に、ジェラルディーヌが3代目として2006年にメゾンを継承した。2012年には協同組合から脱会し完全に独立したレコルタン・マニピュランである。「素晴らしいワインは素晴らしい畑からしか生まれない」という信念のもと、多くの時間をさいてブドウ畑は見事に手入れされている。テロワールを忠実に表現することを第一とし、エキュイユ村の特徴である砂質土壌由来のふんわり感と、絶妙な樽使いがこのメゾンの評価を急激に高めてきた。何よりもぶどう畑が最優先であるという信念を貫く彼らは、土壌と環境を守るために全力を尽くしている。畑には羊が放牧され、鳥箱も設置されている。カバークロップの採用だけでなく、近年ますます注目されているアグロフォレストリーへの取り組みも行っている。畑作業では、通常一般的な季節労働者を雇うことなく、5人のチームでのみ作業を完結させ、自社のブドウだけを使用している。ブドウの品質を高めるために収量をコントロールし、完璧な収穫日を選び収穫する。こうして、自分たちの仕事を完全に管理しているのは、トレーサビリティーを大切に考えているからである。数々の労力はかかるが、「妥協をしない、忍耐強く、がキーワード!」とジェラルディーヌは語っている。

エキュイユ村から世界へ 輝きを放ち始めた村の宝石

 2020年にオーガニック認証、2022年にビオディナミの認証を取得しており、ブノワ・ライエ、ヴエット・エ・ソルベ、フルーリーらが所属するAssociation des Champagnes Biologiquesや、ド・スーザやガティノワが所属するLes Mains du Terroir de Champagneなど、著名なオーガニック栽培のグループに所属している。醸造においては、レス・イズ・モア(少ない方が豊か)の考えを持つ。ステンレスタンクでの発酵・熟成では、温度調節のできる22-44hlの小型サイズのものを使用し、可能な限りポンプの使用を控える。樽での発酵・熟成では、産地の異なる樽(エキュイユの森のオークを使用したものもある)を使用し、一切のポンプを使用せず、無濾過、無清澄で仕上げる。キュヴェにより異なるが、MLF比率は少ないか、全く行わない。そうしてできるシャンパーニュは、テロワールを隠すことなく、砂系を主体とした土壌を見事に表現しており、堅牢でミネラリーなスタイルとは一線を画す、エレガントで優しいタイプの味わいである。才能あふれる彼らのシャンパーニュには、評論家も注目をしている。ワインアドヴォケイトでは、「シャンパーニュ・ラクルト・ゴドビヨンが成長発展している。真新しい(そして非常にスタイリッシュな)ラベルは、根本的な変化、特に醸造における変化を外面的に表現しているにすぎない。」とワインの質の向上について言及している。さらに、フランスのワイン専門雑誌であるTerre de Vinsでは、「才能ある二人。長く続く喜びを与え、そしてまたすぐに味わいたいという抗いがたい欲求。この村の宝石だ。」との賛辞が送られている。上級キュヴェに至っては、年産1000本台~4000本台と非常に少ない生産量しかなく、今後注目度が上がるにつれて、ますます入手困難になっていくだろう。今まさに手にしたい才能あふれる生産者である。