ラエルト・フレール/Laherte Freres

Laherte Freres
現当主によるビオディナミ転換により大きな飛躍を果たした一流ドメーヌ
ラエルト・フレールは1889年創業の歴史を誇る家族経営のシャンパーニュ・ドメーヌであり、現在は7代目にあたるオーレリアン・ラエルトとその父ティエリーによって運営されています。拠点はエペルネ南西に位置するシャヴォ村で、この地を中心に約11ヘクタールの自社畑を所有しています。父ティエリーの代からすでにビオロジック栽培が導入されており、近年ではオーレリアンのリーダーシップのもとでさらにビオディナミ栽培へと転換が進んでいます。環境への配慮と健全なブドウの育成を両立させるその姿勢は、今やラエルト・フレールの大きな特徴となり、世界のワイン愛好家や専門家から高い評価を受けています。ラエルト・フレールのシャンパーニュを語るうえで欠かせないのは、彼らが古木に強いこだわりを持っている点です。一般にブドウの樹齢が高くなるほど収量は減少するものの、果実は凝縮し、より複雑で深みのある味わいをもたらします。ラエルト・フレールでは、この特性を最大限に生かすため、畑の歴史を重んじつつ、あえて古い樹から収穫したブドウのみでワインを仕立てています。代表的なキュヴェである「レ・ヴィーニュ・ドートルフォワ」は、1948年から1960年に植樹された古木のブドウだけを使用した一本で、時を経た樹々が生み出す奥深さと熟成した果実味が際立ちます。また「レ・ロング・ヴォワ」は、1965年および1970年植樹の木から造られるキュヴェで、これもまた古樹ならではの複雑性とフィネスを備えています。これらは単なるシャンパーニュではなく、造り手の哲学と歴史が刻まれた特別な作品といえるでしょう。
さらに、ラエルト・フレールが挑戦的な試みとして世に送り出しているのが「レ・セット・セパージュ」です。このキュヴェは、シャンパーニュの基本となる3品種(シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ)に加え、かつては広く栽培されながらも今日ではほとんど見られない古代品種、プティ・メリエ、アルバンヌ、ピノ・グリ、ピノ・ブランを含めた7品種を使用しています。これら古代品種は栽培が困難で収量も低いため、現在のシャンパーニュ生産においては敬遠されがちですが、ラエルト・フレールはそれらに再び光を当て、失われつつある多様性を復活させています。ブレンドによって生まれる「レ・セット・セパージュ」は、従来のシャンパーニュの枠を超え、奥行きと複雑さを備えながらも新鮮で生命力にあふれた味わいを示し、批評家からも高く評価されています。このキュヴェは、シャンパーニュの新しい未来像を示唆する重要な存在であり、ラエルト・フレールの革新性を象徴する一本でもあります。
ラエルト・フレールを理解するうえでは、彼らが属する地域的な文脈にも目を向ける必要があります。しばしば「コトー・シュッド・デペルネ」と呼ばれるエリアは、エペルネの南部に広がる村々を指しますが、これは厳密にはフランスのAOCに定められたサブリージョン名ではありません。1996年にこの地域の13の村によって設立された生産者協会が「コトー・シュッド・デペルネ」と名付けたもので、地域振興とシャンパーニュの認知度向上を目的とした取り組みです。この地域には、ラエルト・フレールをはじめとする個性豊かなレコルタン・マニピュラン(RM)が多く存在し、大手メゾンとは一線を画すシャンパーニュの新潮流を牽引しています。各生産者は小規模でありながらも、土地の個性や栽培哲学を色濃く反映したキュヴェを造り出しており、ラエルト・フレールはその代表格として世界的な注目を集めています。
ラエルト・フレールのシャンパーニュは、ビオディナミ栽培に裏打ちされたピュアな果実味、古木がもたらす深遠な複雑味、そして伝統と革新を両立させる姿勢によって際立っています。そのワインは単なる嗜好品を超え、造り手の歴史や哲学を体現する芸術作品のように受け止められています。市場では常に需要が供給を上回り、特に限られた生産量のキュヴェは世界中のワインショップやレストランで入手困難となるほどの人気を誇ります。ビオロジックからビオディナミへの進化、古代品種の復権、そして地域全体を巻き込んだ活動を背景に、ラエルト・フレールは「次世代のシャンパーニュ」を象徴する存在として、今後ますます注目されていくことでしょう。
ラエルト・フルールの代表キュヴェ
2018 レ・ザンプラント 
【一本あたり6000円】N.V. ブリュット ウルトラディション
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