オーディンスタール/Weingut Odinstal

Weingut Odinstal
一際標高の高い特別なテロワールを独自に表現するクラフトワイナリー
ドイツ・ファルツ地方ワッヘンハイム(Wachenheim)に位置する小さなワイナリーで、標高約350メートルの高地に畑を構えています。この高さはファルツ地域では極めて珍しく、周囲よりも気温が低いため、ブドウの成熟が遅れ、ゆっくりとした成長サイクルを経て果実の複雑さを育みます。土壌は非常に多様で、火山性のバサルト、殻石灰(シェルライムストーン)、赤い砂岩、石灰粘土などが混じるモザイク構造を持っています。この土壌の変化が畑ごとの風味に明確な違いをもたらし、テロワールを際立たせる要因となっています。
現オーナーのトーマス・ヘンゼルと妻ウテ・フェルが、
ワイン造りの哲学は、「最小限の介入」と「ビオディナミ(生物動力農法)」への徹底したこだわりにあります。ぶどうは1990年代に有機栽培に切り替えられ、2000年代半ばにはビオディナミへの移行を果たしました。醸造では自然酵母発酵(ネイティブイースト)を用い、酸の調整や硫黄添加を極力控えることで、ぶどうと土壌、そして気候が持つ自然の個性をそのままボトルに閉じ込めることを目指しています。澱(おり)に長く触れさせる熟成、瓶熟成も含めて時間をかけ、香りの層の重なりとテクスチャーの豊かさを育てていることが感じられます。
使用品種にはリースリング(Riesling)を中心に、ヴァイスブルグンダー(Weißburgunder)、オーセロワ(Auxerrois)、シルヴァーナー(Silvaner)、リースラーナー(Rieslaner)、ゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer)などがあります。リースリングはOdinstalの中で最も「場所」を表現するぶどうとして取り扱われており、例えば「120 NN」などのヴィンテージでは、複数の区画のリースリングを組み合わせ、バサルトとシェルライムストーンと赤砂岩という異なる土壌の特徴を同時に味わえるスタイルを作り出しています。このワインは柑橘(ライムやグリーンアップル)、桃の果実味、そして土壌由来の鉱物感や岩のようなミネラルがクリアに立ち上がり、バランスの良い酸味とテクスチャーのコントラストがはっきりしています。
代表的なキュヴェ
酵に加えている。
