ニコラ・ジョリー/Nicolas Joly

Nicolas Joly
歴史的な畑を所有するビオディナミの先駆者
ニコラ・ジョリー氏が一代で名声を築き上げロワールを代表するワイナリーの一つ。ニコラ氏は元々、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)を取得し、ウォールストリートで働くビジネスマンでした。モントリオールの金融省に1年半、更にモルガンスタンレーに5年間勤務し、ビジネスの世界で順調に出世していた中、1976年に仕事を辞めてフランスへ帰国。母が運営していたワイナリーを継ぎ、ワイン造りを始めました。
ジョリー氏は「美味しいワインである前に、その土地固有の繊細さを表現した本物のワインでなくてはならない」と、1980年から部分的にビオディナミを導入し、1984年からすべての畑でビオディナミを行っています。2001年、ジョリー氏はビオディナミの団体「Return to Terroir」を創立、12カ国、約150生産者がこの団体に所属しています。また、彼はこの団体を通し、世界中で講演し、原点へ回帰を提唱しています。
ビオディナミについては当初、近隣の栽培家から非難を受けることもありましたが、畑が本来の力を取り戻し、エレガントなワインが出来るようになると関心を示す生産者が続々と出現。ブルゴーニュの偉大な女神ラルー・ビーズ・ルロワ氏でさえ彼の影響を受けていると言われるほどに、ニコラ氏はビオディナミの先駆者的な存在となりました。ビオディナミは今でこそフランス各地の一流生産者に導入されている農法ですが、フランスで初めてビオディナミを取り入れ成功したのは、ニコラ・ジョリー氏その人なのです。
フランス5大白ワインの一角 "クーレ・ド・セラン"
ニコラ・ジョリーを語る上で欠かせないのがビオディナミと"クーレ・ド・セラン"です。ニコラ・ジョリーが所有するのは、温暖な海洋性気候で知られるアンジュ―&ソミュール地区の中でも、南西部右岸に広がるサヴニエールの畑。火山性の鉱物や砂岩などを含む、複雑なテロワールで知られており、シュナン・ブラン100%で造られる辛口白ワインは、ミネラル感を感じさせる香りと力強い骨格が特徴です。近年は温暖化の影響もあり、より密度の高い果実味が味わえるリッチな印象のワインも生産されています。
複数所有する畑の中でも、最も有名なのがクーレ・ド・セラン。この畑は12世紀にシトー派修道僧によって植えられ、800年以上に渡りブドウ栽培が行われている由緒ある区画です。その歴史の中ではルイ11世や14世、女帝フィーヌなど偉人たちがこの地を訪れたという記録も残るほど、著名な歴史を誇ります。1962年に歴史好きであったニコラ氏の父が購入した区画は、1976年からニコラ氏が引き継いでおり、現在彼らのみが唯一所有する区画、モノポールとして知られています。
僅か7haの畑は夕方になっても燦々と太陽を浴びる抜群の日当たりに恵まれた急斜面の畑であるため、しっかりと果実味の乗ったブドウが収穫されることが特徴。また、畑には平均樹齢は40年以上の樹々が植えられており、一番古い樹で80年以上という高樹齢のブドウ樹から複雑で濃縮感溢れる白ワインが産み出されてます。その優れたブドウから造られるワインを、食通の王として有名なキュルノンスキー氏が、『イケムに並ぶ、フランスの5大白ワインの1つ』と評価しています。
代表的なキュヴェ
