ドメーヌ・ペパン / Domaine Pepin

ペパン - Wine Library

Domaine Pepin

ドメーヌ・ペパン

アルザス地方で近年注目を集めている「ドメーヌ・ペパン(Domaine Pépin)」は、単なる生産者という枠を超え、ナチュラルワインの哲学と実践を体現するユニークなプロジェクトとして知られています。その背景には、アルザスの自然派ワイン界を牽引するドメーヌ・アキレ(Domaine Achillée)を率いるディートリッヒ家、特にジャンとピエール・ディートリッヒ兄弟の存在があります。彼らは、長年の有機栽培およびビオディナミ農法の実践で培った知識と経験を基に、より多くの自然派ワインを世に送り出すための新たな試みとして「ペパン」を立ち上げました。

ドメーヌ・ペパンの哲学とアプローチ
「ペパン(Pépin)」とはフランス語で「種子」や「小さな種」を意味し、その名の通り、自然の恵みを最大限に活かしたワイン造りの根幹を象徴しています。彼らの哲学は、「解放、盟友、抵抗」という言葉に集約されます。これは、伝統的なワイン造りに縛られず、自然本来の力を尊重し、ピュアなブドウから生まれるワインの可能性を追求する彼らの姿勢を表しています。

具体的には、ペパンは単一のドメーヌではなく、アルザス地方の複数の有機認証を受けたブドウ栽培農家と連携する「コレクティブ(共同体)」の形式をとっています。ディートリッヒ兄弟は、これらの提携農家が栽培したブドウのキュヴェ(ブレンド)と醸造において指導・協力を行い、共通の厳格なガイドラインに沿ってワインを生産します。このアプローチにより、小規模ながら高品質なブドウを栽培する農家が、ナチュラルワインの生産に参入しやすくなり、また多様なテロワールのブドウをブレンドすることで、ペパンならではの複雑性とバランスを持つワインが生み出されています。

畑とテロワールへのこだわり
ペパンのワインは、全て有機栽培またはビオディナミ農法で育てられたブドウを使用しています。これは、合成農薬や化学肥料を一切使わず、土壌の健康とブドウの生命力を最大限に引き出すことを意味します。アルザスの多様な土壌(花崗岩、石灰岩、粘土など)から採れるブドウを巧みにブレンドすることで、それぞれのテロワールの特徴を表現しつつ、ペパン全体のスタイルである「シンプルで正確、果実味とフレッシュさに溢れ、本物であること」を追求しています。

土壌の尊重、生物多様性の最大化、そしてブドウ樹が自然なバランスを見つけること。これらはペパンが掲げる重要な原則です。彼らは、単にブドウを栽培するだけでなく、ワイン生産者が「庭師」として、その土地の景観を維持し、発展させる役割を担うべきだと考えています。

醸造へのアプローチ
ペパンのワイン造りにおける最大の特徴は、極めて介入を少なくする「自然醸造」にあります。収穫は全て手作業で行われ、ブドウは可能な限り優しく扱われます。

天然酵母による発酵: 培養酵母は一切使用せず、ブドウが本来持つ天然酵母のみで発酵が行われます。これにより、それぞれのテロワールとヴィンテージの個性がワインに反映されます。

SO2(亜硫酸塩)の最小限の使用: ほとんどのキュヴェでSO2の添加は行われません。もし添加される場合でも、瓶詰め時にごく少量のみに抑えられ、ワイン本来の味わいを損なわないように最大限配慮されています。

無清澄・無濾過: ワインは清澄剤やフィルターを使用せずに瓶詰めされます。これにより、ワインに含まれる微細な成分やアロマが最大限に保持され、より複雑で奥行きのある味わいとなります。

多様な熟成容器: ステンレスタンク、古樽(フードル)、コンクリートタンクなど、それぞれのワインの特性に合わせて様々な熟成容器が使い分けられます。木樽の使用は控えめで、ブドウ本来の果実味とフレッシュさを尊重した造りが特徴です。

赤ワインやオレンジワインにおいては、ブドウの果皮と共に発酵させるマセラシオン(醸し)が系統的に行われ、白ワインでも時折実施されます。これにより、色合いや風味、タンニンのストラクチャーがより豊かになります。

ワインのラインナップと特徴
ペパンは、特定のブドウ品種やアペラシオンに縛られず、自由な発想でワインを造っています。彼らのワインは、それぞれにユニークなキャラクターが描かれたラベルも特徴的で、これは有名なアーティストであるミシェル・トルマーがデザインを手がけています。

ペパンの代表的なキュヴェ

NV ペパン ペティヤン・ナチュレル Lot No.10 / ドメーヌ・ペパン

NV ペパン オランジュ Lot No.18 / ドメーヌ・ペパン

NV ペパン オランジュ Lot No.22 / ドメーヌ・ペパン



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