マリア・ウント・セップ・ムスター / Maria & Sepp Muster

Maria & Sepp Muster

マリア・ウント・セップ・ムスター

オーストリア屈指のカルト生産者

醸造所は急斜面のブドウ畑と森に囲まれた丘の上にある。斜面の下に向かって並ぶ、栗材の支柱の間の約1.8mの高さに渡された、一本の針金からブドウの枝葉がわさわさと垂れ下がる独特の仕立て方で、年間降水量約1000mmを超えるこの地方に向いた伝統的な栽培手法だと、オーナーのセップ・ムスターは言う。彼の両親が約300年前からそこにあった、約10haのブドウ畑と建物を購入したのは1978年のこと。

セップ・ムスターのワインの特徴

オーストリア最南部に位置し、スロヴェニアと国境を接するズュートシュタイヤーマルクは、独特の気候と土壌、そして革新的なワイン造りで知られる生産地域です。


気候と地理的特徴

地中海からの湿潤で温暖な空気の影響を受け、年間降水量は約1000mmと非常に多いのが特徴です。しかし、ブドウ畑は非常に起伏に富んだ急斜面に位置しているため、余分な水分は効率的に流れ落ちます。また、標高が500mから600mと冷涼な気候が、カビの繁殖を抑制し、ブドウのアロマ成分の蓄積を助けています。


多様な土壌と「オポーク」

この地域には、粘板岩、貝殻石灰岩、泥灰土、砂など様々な土壌が見られますが、特に多いのが「オポーク (Opok)」と呼ばれる土壌です。これはフリウリの「ポンカ」やスロヴェニアの「オポカ」と同じく、石灰質を含む泥灰土、粘土、シルトが混じり合ったものです。この特有の土壌が、ワインに複雑なミネラル感を与えています。


品種の変遷と革新的なワイン造り

かつては多産なヴェルシュリースリングが主要品種でしたが、1980年代に転機が訪れます。オーストリア大公ヨハンがこの地に持ち込んだとされるムスカート・ジルヴァーナー(現在のソーヴィニヨン・ブラン)を、ロワール地方を模範にバリックで醸造する生産者が現れたのです。当初は樽香のつけすぎや乳酸発酵の失敗もありましたが、1990年代にはノウハウを確立し、モリロン(シャルドネ)やグラウブルグンダーなどでも同様の成功を収めました。

2000年代に入ると、ビオディナミ農法に取り組む生産者が登場し、亜硫酸無添加醸造や、ジョージアの伝統的な甕であるクヴェヴリを使った醸し発酵など、さらなる革新的な試みが注目を集めています。


主要栽培品種(2016年)

現在のズュートシュタイヤーマルクの主な栽培品種の割合は以下の通りです。

  • ソーヴィニヨン・ブラン: 21.1%
  • ヴェルシュリースリング: 16.5%
  • ヴァイスブルグンダー: 11.4%
  • ムスカテラー: 9.9%
  • シャルドネ: 8.6%
  • ツヴァイゲルト: 6.3%

ズュートシュタイヤーマルクのワインは、その独特のテロワールと生産者の絶え間ない探求心によって、世界中で高く評価されています。

セップ・ムスターの代表キュヴェ

2020 グレーフィン / マリア・ウント・セップ・ムスター

2020 スガミネック / マリア・ウント・セップ・ムスター

2020 グラーフ・ソーヴィニヨン / セップ・ムスター

2020 グラーフ・モリヨン / セップ・ムスター

2019 グラーフ・ツヴァイゲルト / セップ・ムスター

セップ・ムスターのおすすめ商品のラインナップは下記からご覧いただけます。