エマニュエル・ルジェ/Emmanuel Rouget

Emmanuel Rouget
アンリ・ジャイエ氏の遺伝子を継ぐ天才醸造家
アンリ ジャイエ氏を叔父に持つエマニュエル ルジェ氏は、偉大なる叔父からワイン造りを学びました。叔父の教えを尊重し、最高品質のものを造るという姿勢のエマニュエル氏のワインは、非常に繊細で芸術とも言える出来上がりになっています。また、同じく叔父のジョルジュ ジャイエ氏の畑を分益小作してのワイン造りも行っています。2人のワインの違いはテロワールよりも樽の使い方にあり、畑の位置や耕作、醸造などはほぼ同じですが、ジョルジュ氏のワインは熟成に使われる樽の新樽比率がエマニュエル氏のワインよりも低いという特徴があります。また、2005年からエマニュエル氏の長男であるニコラ氏が自分のラベルでワイン造りを始め、2009年から次男のギョーム氏もワイン造りを補佐しています。
葡萄栽培に関してもアンリ ジャイエ氏の哲学を受け継ぎ、葡萄は出来るだけ自然な方法で育てること、葡萄の収穫は早すぎても遅すぎてもいけないので、その年にとって適切な収穫時期を見極めること、収穫量を厳しく抑制することを心掛けています。畑仕事を重視するルジェ氏の手は荒れてゴツゴツとしていて固く、まさに農民の手です。収穫は全て手摘みで、「ピノ ノワールのワインに葡萄の梗を入れるなど考えられない」と言うエマニュエル氏は除梗を100%行っています。赤ワインはピノ ノワールのアロマと色調を引き出すため低温浸漬を行ってからコンクリートタンクで15~20日間かけてアルコール醗酵を行い、20ヵ月間樽熟させてからフィルターやコラージュはせずに瓶詰されます。白ワインは圧搾後にステンレスタンクでアルコール醗酵を行い、ステンレスタンクもしくは樫樽で10~12ヵ月間熟成させます。瓶詰前に軽く清澄しますがフィルターは行わないので、ヴィンテージによっては少し濁りが残ることがあります。
エマニュエル・ルジェが手掛けるクロ・パラントゥは、ヴォーヌ=ロマネ1級畑の中でも伝説的な存在として知られています。この小区画はかつてアンリ・ジャイエが開墾し、その後甥にあたるルジェが継承しました。現在はルジェとメオ・カミュゼがそれぞれ所有・醸造を行っており、どちらのワインもブルゴーニュ愛好家の垂涎の的となっています。ルジェのクロ・パラントゥは、赤系果実と黒系果実の凝縮感に花やスパイスのニュアンスが重なり、ミネラルを伴う緊張感ある骨格を備えています。若いうちは力強さが前面に出ますが、熟成とともにバラの花弁やトリュフ、森の下草を思わせる複雑さが現れ、余韻は非常に長く続きます。生産量は極めて少なく、世界市場での入手は困難ですが、その稀少性こそが価値を高めています。