ジャン・グリヴォ / Jean Grivot

ジャン・グリヴォ - Wine Library

Jean Grivot

ヴォーヌ・ロマネのエレガンスとテロワールの忠実な表現者

DRCやルロワが覇権を握り、エマニュエル・ルジェやメオ・カミュゼ、シルヴァン・カティアールといった実力と人気を有する生産者たちがひしめくヴォーヌ・ロマネ村にあって、ドメーヌ・ジャン・グリヴォ(Domaine Jean Grivot)は、この偉大な村のピノ・ノワールの真髄を表現し続けている家族経営の名門ドメーヌです。

19世紀初頭から続く長い歴史を持ちますが、特に第二次世界大戦後、ジャン・グリヴォ氏(Jean Grivot)がドメーヌの発展に尽力しました。現在は、彼の孫にあたるエティエンヌ・グリヴォ氏(Étienne Grivot)がドメーヌを率いており、この村特有のフィネス(繊細さ)と、畑の個性を明確に描き分けるワイン造りで国際的な高い評価を得ています。このドメーヌのワイン造りの哲学は、「畑のテロワールの声を最大限に尊重し、醸造において過度な介入を避ける」という、極めて伝統的かつ洗練されたアプローチに基づいています。彼らのワインは、ヴォーヌ・ロマネらしい優雅で官能的な香りと、芯の強さを併せ持ち、長年の熟成を経ることでさらに深みを増します。

リシュブールやクロ・ド・ヴージョなどの特級と秀逸な一級畑

ドメーヌ・ジャン・グリヴォが所有する畑は、ブルゴーニュの黄金地帯であるヴォーヌ・ロマネ村を中心とし、ニュイ・サン・ジョルジュ村、クロ・ド・ヴージョ村にまたがる約15.5ヘクタールに及びます。彼らが誇る主要な区画は、まず、ヴォーヌ・ロマネを代表する特級畑(グラン・クリュ)の一つであり、豊満でスケールが大きく、凝縮感と複雑性を備えたワインを生み出す**リシュブール(Richebourg)です。グリヴォはこの畑に優良な区画を所有しており、そのワインは圧倒的な存在感を放ちます。また、広大な特級畑であるクロ・ド・ヴージョ(Clos de Vougeot)にも区画を所有しており、ここでは、この畑の持つ力強さと奥行きを表現しています。

さらに、村の主要な一級畑(プルミエ・クリュ)も重要です。エシェゾー特級畑の真上に位置し、特級に匹敵するほどのフィネスとミネラル感を持つヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ「レ・ボー・モン」(Les Beaux Monts)、そしてラ・ターシュ特級畑に隣接し、官能的で滑らかなテクスチャーと芳醇なアロマが特徴のヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ「レ・スショ」(Les Suchots)は、彼らのポートフォリオの中でも特に傑出した存在です。

健全な栽培と全房発酵がもたらすヴォーヌ・ロマネのエレガンス

エティエンヌ・グリヴォ氏は、畑の健康を何よりも重視しており、可能な限り自然に近い栽培方法を実践しています。化学肥料や除草剤の使用は最小限に抑えられ、土壌の微生物相と生命力を高めることを目指しています。グリヴォのワイン造りの大きな特徴の一つは、全房発酵への積極的な取り組みです。これは、ブドウの房を梗(ステム)ごと発酵槽に入れる手法であり、この工程がワインにスパイスやハーブ、バラのようなフローラルなニュアンスを加えることで複雑なアロマを生み出します。さらに、全房発酵はタンニンをより繊細で滑らかにし、ワインに独特のシルキーなしなやかさと緊張感のある酸を保たせることで、長期熟成のポテンシャルを大きく高めます。グリヴォでは、ヴィンテージや区画の特性に応じて、全房の使用比率を慎重に決定していますが、近年はこの手法を通じて、彼らのワインの持つ透明感とフィネスを一層際立たせています。発酵には天然酵母のみを使用し、温度管理も細やかに行うことで、ピノ・ノワールの繊細な風味を最大限に引き出します。

熟成においては、新樽の比率を特級畑で約50%、プルミエ・クリュで約30%程度に抑えることで、樽の要素が果実のピュアな風味を邪魔しないよう細心の注意が払われています。樽の香りを主張させるのではなく、ワインの骨格を支える要素として機能させるのがグリヴォの流儀です。樽熟成期間を経て、ワインは落ち着きと調和を得て、瓶詰めされます。ドメーヌ・ジャン・グリヴォのワインは、リリース直後からヴォーヌ・ロマネらしい優雅な果実味を楽しめますが、その真価は数年から数十年の長期熟成後に発揮されます。熟成を経たワインは、複雑なトリュフやなめし革のブーケと共に、ヴォーヌ・ロマネの比類なきエレガンスを完璧な形で体現するでしょう。

ジャン・グリヴォの代表キュヴェ

1989 エシェゾー / ジャン・グリヴォ

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