2015 ネグレ・トラディシオ / カン・フェイセス

 スペイン最高峰のシャルドネの名手

 スペインのスパークリングワイン- カバの銘醸地として知られるペネデスに本拠地を置くカン・フェイセス。地中海沿岸からカタロニアン山脈の麓まで広がるペネデスは、海岸寄りの赤の銘醸地バホ・ペネデス、山沿いのシャルドネの銘醸地アルト・ペネデス、二つの間にありカバの銘醸地とされるメディオ・ペネデスの三つの地域に分割されています。

このアルト・ペネデスに構えるカン・フェイセスは15世紀から続く歴史ある農園で、1768年にドン・ハウメ・フェイセスにより醸造所が設立。20世紀初頭に後継者問題から存続が危ぶまれましたが、現オーナーであるウゲット家が地所を買い取り、ワイン造りが続けられることとなりました。350haの敷地内では、ブドウの他にオリーブの栽培や羊の放牧も行っており、畑に用いる肥料も自社で賄っています。自然を尊重し、この地の風景を最大限に反映した最高クオリティのワインを目指し、2008年から完全に有機農法でブドウを栽培。約80haのブドウ畑は海抜約350-400mに広がり、昼夜の寒暖差のある涼やかな気候のおかげでブドウはゆっくりと成熟し、糖度と酸の素晴らしいバランスを備えます。

また、石灰粘土質の土壌は石が多く痩せており、収量が自然と制限されます。彼らの入念な畑仕事により、このテロワールの個性がしっかり備わった傑出したクオリティのブドウを生みます。手作業での収穫の後、畑とセラーの計2回選果が行われ、厳選したブドウから得られたフリーラン果汁のみがカン・フェイセスのワインとなります。専門各誌で高い評価を集める彼らのシャルドネは、最高の年のみ造られ、瓶詰め後を含め、合計2年以上のセラーでの熟成を経てリリースされます。長いハングタイムがもたらす複雑で濃厚な果実、それを引き立たせる豊かなオークやフレッシュなキャラクターに、全体を引き締める石灰のミネラル。スペインでこれほどリッチで成熟したシャルドネは中々ありません。