商品名(原語) | Les Ciels Changeants Côtes du Jura Chardonnay |
---|---|
タイプ | 白 / 750ml |
産地 | France / Jura |
生産者名 | Philipp Hedderman |
生産年 | 2023 |
ぶどう品種 |
Chardonnay |
輸入元 | Vin Amis |
備考 | お届けするヴィンテージは2023年でございます。 |
![]() Philipp Hedderman音楽家から醸造家への転身スコットランドに生まれたフィリップ・ヘダーマン(フィル)は、幼いころに母方の生まれ故郷であるアイルランドに移住し、幼少期を過ごした。その後、音楽活動を始めロンドンへと拠点を移し た。ミュージシャンとして多忙な日々を送っていたが、ある日フィルは運命を変える出会いをす る。その日は予定されていたコンサートが急遽キャンセルされ、時間ができたフィルは興味本位で偶然近くにあったワインショップへと入った。それまでワインを飲む習慣のなかったフィルだが、 偶然手に取ったワインに心を動かされ、それからは一気にワインの世界にのめり込んだ。音楽に向 けていた情熱は一気にワインへと移り、ロンドンでソムリエの勉強を開始。とことん突き詰める性 格のフィルは、南アフリカで開催されたテイスティング大会に参加する。そこで目にしたブドウ畑 に心を奪われ、造り手を志すようになる。友人の紹介でポルトガル、リスボン近郊のワイナリーで働くことになり、フィルのワイン生産者としての旅が始まった。 ポルトガルで初めてワインを造ったフィル。ワイン造りの難しさと大変さを実感したと同時に、奥深さ と、初めてワインができた時の喜びと達成感はこれまでの人生で感じたどの喜びとも違う強烈で純粋な感 動だった。土着品種以外に、ソーヴィニョン・ブランやリースリング、ピノ・ノワールなどの国際品種に 興味を持った。より深くワインを学ぶため、その後はニュージーランドのホークスベイへと移り、ブドウ 栽培とワイン醸造のディプロマを取得した。卒業後はマーティンボローのアタランギで働き、ピノ・ノワ ールへの情熱が確信に変わった。そして次なる舞台として彼が選んだのは、ブルゴーニュだった。ドメー ヌ・デュジャック、パスカル・マルシャン、ダヴィッド・クロワ。地域を代表する生産者たちと働いた経 験は、彼に“テロワールを活かす”という感覚を根づかせた。しかし同時に、彼の中である種のジレンマも 生まれていた。「自分が好きな繊細で冷涼なワインを造るには、ブルゴーニュでも年々難しくなってい る。気候変動で、かつてのような酸を表現するには無理をしなければならない。そんなときに出会ったのが、ジュラだった。」ダヴィッド・クロワから彼の友人であるドメーヌ・クールベで人を探していると紹 介を受け、収穫に参加することにした。「ここだ。初めて南アフリカでブドウ畑を見てワイン造りに惹か れた時と同じ感覚がした」と当時を振り返る。 ジュラの地で描く未来 “変わりゆく空”とともに歩む新時代の挑戦2021年にジュラに移住したフィルは2022年から買いブドウでワイン造りを開始した。「ワインを造 るうえで最も大切なことは、自分の好み、造りたいワインを知ること。そこを目指してすべての作 業を行う。しかしそれと同時に、ワインは自然が作り上げるものでもある。自分の好みにするため に化学物質を加えたり、ワインの要素を取り除くことはしたくない。だから、理想のワインを造る ために最適な環境を見つけなければならない」と語る。現在は知人から購入したシャルドネとサヴ ァニャンからワインを造っている。2023年にはついにシャルドネとサヴァニャンの自社畑も植樹 し、基盤を築き始めた。「まだ植樹したブドウからワインが造れるのは数年先だけど、ようやく自 分の手で本当の意味での“はじまり”をつくれた気がした。」畑はシャトー・シャロン AOC エリアに 隣接する コート・ド・ジュラ AOC 区画に位置し、冷涼なミクロクリマと石灰質マール土壌が、彼 の目指すワインスタイルに理想的な環境を提供している。 プロジェクトの名前はLes Ciels Changeants(レ・シエル・シャンジョン、変わりゆく空)とした。 「畑ごとに見える空が違っていて、時間や季節によっても刻々と変わっていく。その変化の美しさ は、僕にとって“自然と共にあるワイン造り”の象徴。そして同時に、この地域に新しい世代が次々 と生まれていること。まさに時代の移ろいを表している。」 フィルが目指すのは、味わいに動き、躍動感があるワイン。口の中でワインが踊るように、リズム を刻みながら移り変わる感覚。その動きを支えるのが酸であり、他の要素との調和がすべての鍵を 握る。「だからこそ、収穫日は絶対に妥協しない。畑でブドウの状態を見て、香りを嗅いで、噛ん でみて、心と体でその瞬間を決める。すべてのバランスはそこから始まるから。」 彼のように、ジュラでは、他のドメーヌで働きながら買いブドウから自らのワイン造りを始める若 い造り手たちが増えている。土地の価格やブドウの確保は決して簡単ではない。だが彼はそれを“挑 戦”ではなく“希望”と捉えている。「いつか、ヴァン・ジョーヌやマクヴァン・ド・ジュラといった この土地を象徴するワインも造りたい。そのためには、まずは生産量を少しずつ増やしながら、足 場を固めていくこと。時間はかかるかもしれないけれど、僕には見えているんだ。あの空の下で、 自分のワインが育っていく姿が。」 Les Ciels Changeants Côtes du Jura Chardonnayフィルにとって2年目のヴィンテージとなった2023年。理想的な気候だった、と語るように病害 のリスクが少なく健康的なブドウが収穫された。量、質ともに満足できた年だとフィルは言う。一方、2024年 は春の霜害とその後の継続的な降雨で収量が大幅に減少した。トレムレットの畑はブドウが一切取れなく、生産量は300本のみとなった。そのためフランス国内のみでの販売になる予定とのこと。残念だが、2025年ヴィ ンテージが良い年になることを願うばかり。 ジュラのシャルドネらしい澄んだ風味が吹き抜ける一本。緻密さと躍動感が同居するスタイル。香りには、フ レッシュなリンゴ、砂糖漬けのレモン、サンザシの花、そしてほんのりとチョークのニュアンス。 口に含む と、張りのあるミネラル感が広がり、穏やかな酸化のニュアンスが奥行きを与えつつも、酸を中心とした芯の 通った味わい。 生産本数1500本 |