シャンソン/Chanson

Domaine Chanson
ブルゴーニュの歴史を纏う老舗メゾン
ドメーヌ・シャンソン(Domaine Chanson)は、1750年の創業以来、ブルゴーニュ地方ボーヌの中心地で270年以上の歴史を刻んできた老舗のネゴシアン・エルヴール、そしてドメーヌです。その歴史は、ブルゴーニュが経験した数々の激動の時代、特にフランス革命や経済危機を乗り越えてきました。彼らは創業当初から**「ボーヌの城塞(Bastion de Beaune)」**と呼ばれる15世紀に建てられた堅牢な城壁内の建物を本拠地とし、ワイン造りだけでなく、ブルゴーニュの歴史そのものに深く根ざしてきました。
シャンソンが今日、ドメーヌとして持つ畑の総面積は45ヘクタールにおよびます。これらの畑は、コート・ド・ボーヌ(Cote de Beaune)の最も偉大なテロワールに位置しており、その中核をなすのが13.5ヘクタールのプルミエ・クリュ(Premier Cru)の自社畑です。特に、ボーヌ、サヴィニー・レ・ボーヌ、コルトン、ペルナン・ヴェルジュレスなどの1級畑に集中しています。シャンソンは、これらの畑から、それぞれのテロワールの個性を最大限に引き出すワイン造りを追求しています。古くから「エレガンスと熟成能力」を兼ね備えることがシャンソンのスタイルとされてきました。
1999年ルロワ家による革命的な品質改革
長きにわたり名声と歴史を維持してきたシャンソンですが、1990年代後半、より一貫した高い品質を追求する変革期を迎えます。1999年、ブルゴーニュの偉大なドメーヌであるドメーヌ・ルロワ(Domaine Leroy)の創始者であるアンリ・ルロワ(Henri Leroy)の娘、アレクサンドラ・ルロワ・ブイヨが率いるボワセ・グループ(Groupe Boisset)の傘下に入ったのです。
この買収はシャンソンにとって単なる資本提携ではなく、品質を劇的に向上させるための「ルネサンス(再生)」となりました。ボワセ・グループは、まずドメーヌの責任者にジル・ド・クーヴルールを迎え、ブドウ畑と醸造の両面で大胆な改革を断行しました。 土壌の健康を最優先し、化学肥料の使用を停止。一部の畑では有機農法(ビオロジック)へと転換を進め、収量制限を厳格化しました。また伝統的な開放式木桶を再導入し、100%除梗、自然酵母による発酵を基本としました。特に、樽の使用においては、新樽比率を抑え、ワインの果実味とテロワール由来のミネラル感を損なわないよう細心の注意が払われています。
この改革により、シャンソンのワインは「クリアでピュアな果実味」と「テロワールを表現する緻密さ」を獲得し、世界的な評価を飛躍的に高めることに成功しました。2000年代以降のヴィンテージは、老舗メゾンの歴史的な風格と、ルロワがもたらした現代的な技術・哲学が見事に融合した新しいシャンソンの姿を示しています。