ショパン/Chopin
Chopin
幻の畑を継承し、全房発酵で描く新時代のブルゴーニュ
かつて「幻」と称された生産者、ショパン・グロフィエ(Chopin-Grofier) の名は、1990年代後半にはほとんど市場から姿を消しました。1997年前後の引退以降、その作品を目にすることは稀となりましたが、2019年、彼が築いた畑の一部は再び命を吹き込まれます。アルノー率いる ドメーヌ・ショパン が、そのミッションを受け継ぎ、伝説の名前を現代へとつなぐ役割を担う存在となりました。彼らはまた、ショパン・グロフィエの兄弟の孫として伝承された畑に加え、アルノーの曽祖父がオークションで取得した シャルル・ノエラ(Charles Noëlla) の畑も所在し、伝統の断片をひとつに束ねています。
樽に徹底的なこだわりを見せる全房発酵100%のクリーンナチュラルスタイル
ドメーヌ・ショパンを率いる当主 アルノー は、2015年から赤ワインすべてを 全房発酵100% の手法で造ることにこだわり続けています。除梗をせずに房ごと発酵槽に投入するこの方法は、果実の構造や香りをストレートに表現する技法として、ナチュラル派的志向と調和しながらも、清潔で洗練されたスタイルをもたらします。その結果、チャーミングでありながらエレガント、赤い果実の風味を鮮やかに持ちつつも、透明感ある余韻を備えたワインが生み出されます。
この造りを支える重要な存在が、アルノーの弟 アルバン です。彼は、ワイン用樽製造最大手のひとつである フランソワ・フレール社(François Frères) に在籍していました。そこで培った樽の木目、トースト度、材質選択などのノウハウを武器に、2000年にドメーヌに戻り、兄とともに品質向上に邁進しています。ブルゴーニュにおいて樽の選び方・使い方はワインの品質に直結する要素ですから、アルバンの経験と感性はドメーヌ・ショパンにとって欠かせない柱です。
このような背景と技術的融合のもと、ドメーヌ・ショパンのワインは、過去の伝統に根ざしながらも、現代的な発露と個性を併せ持つ作品として注目を集めています。量より質、香りより構造、個性より調和——そのすべてがひとつの流れとして流れるようなワインを、彼らは今日も丁寧に造り続けています。