ドゥウール/Dehours

ドゥウール - Wine Library

Dehours

最初期にリュー・ディに取り組んだ優良RM生産者

現当主ジェローム氏の祖父が1930年に設立し、ジェロームの父が早くこの世を去ったため買収されたが、再度買い戻し、姉と共に1996年に再スタートを切ったドゥウール。日本では輸入量の少なさからまだあまり知られていませんが、ヨーロッパ各地では数々の星付きレストランで採用されるなど、その実力は折り紙付きです。
ワイン造りにおいて特徴的なのはリザーヴワインを1998年より続くソレラシステムで仕込んでいること。
ソレラシステムとは下から上へ古い樽から新しい樽順に積み上げられ、出荷の度に新しい樽から古い樽へと注ぎ足し、伝統の味わいを継承し味わいを均一に保つシステムで畑ごとの異なるキャラクターの葡萄を古樽でじっくりと熟成させてから瓶詰を行います。
ドゥウールのシャンパーニュはNVなど若いものであってもベースワインの長期熟成からくる複雑性や、ボリューム、長く続く余韻を持ちます。

栽培では、土壌の健康や生物多様性を保つことを心がけており、2014年にはHVE認証レベル3を取得、フランスで最も早くこの認証を取得したワイナリーの1つである。除草剤は一切使用せず、病害対策は、芽掻きや入念な剪定作業、早いタイミングでの除葉を行い空気の循環を生み出すことで対応している。また、古樹のブドウのセレクション・マッサールも行い、クローンの多様性も維持している。醸造では、収穫タイミングの見極めと同等にプレス工程も重要視しており、2023年には伝統的なプレス機の1つを改良して、最大でも1,500kgのブドウしか圧搾できない機械を用意した。これにより収量が少ない年でも、過度な圧力をかけることなく単一区画のブドウをプレスできるようになり、さらに最新式の自動制御システムも導入したことで、より精度の高い作業が可能になった。ブレンド用のキュヴェは小さなステンレスタンクで、単一畑のキュヴェは様々なサイズ(200L、300L、500L)の木樽で醸造し、各テロワールの個性と多様性を尊重するよう努めている。一次発酵、瓶内二次発酵の両方で独自で選抜した酵母を使用し、硫黄の添加は少量に抑える。瓶詰め前の濾過や清澄処理は行わず、静置しての自然清澄を待つため、瓶詰めは6月下旬となる。

ドゥウールはドイツの著名なワイン評論家アイヒェルマン氏より、エグリー・ウーリエやセドリック・ブシャール、ブノワ・ライエらと並ぶ4ツ星評価を受けており、Wine Advocate誌からは「ドゥウール家はムニエのゴッドファーザーの一人で、彼のスタイルはスリム、ピュアで正確、そしてフレッシュだ。彼の最新リリースはどれも注目に値し、複雑で風味豊かなワインのようなシャンパーニュを造り上げている」との称賛を受けている

代表的なキュヴェ

NV メゾンセル

メゾンセルはマレイユ・ル・ポール内、樹齢12~52年のブドウが植わる鉄分が豊富な粘土&シルト質土壌の区画。