ドメーヌ・ド・トレヴァロン / Domaine de Trevallon

Domaine de Trevallon
プロヴァンスの枠を超えた孤高の生産者
ドメーヌは、アヴィニヨン市の南25キロメートル、アルピーユ丘陵の北西端の標高200メートル弱のなだらかな斜面に広がり、プロヴァンス地方がほぼ重なるブーシュ・デュ・ローヌ県の西端に位置しています。1950年代半ば、現在の当主エロイ・デュルバックの父ルネが60ヘクタールほどの土地を購入したのがトレヴァロンの始まり。ピカソとも親交があったルネは20年間変化のなかったシンプルなラベルを、1996年ヴィンテージ以降、ドローネーとクレーを思わせるようなシックなものに変えた画家、彫刻家でもありました。その後エロイが潅木の林を切り拓いてぶどうを1973年に植え付け、ドメーヌはスタート。
17ヘクタールの畑は15ヘクタールに赤ワイン用のカベルネ・ソーヴィニヨンとシラー(シャトー・ラヤスから)が同じ割合で植わり、残り2ヘクタールに白用のマルサンヌとルサンヌ種が45パーセントずつ、それにシャルドネ種が10パーセント植えられています。
石灰岩質土壌の痩せた畑では、厳密なビオではないものの、ドメーヌの設立当初から有機農法でぶどう栽培をおこなっており、剪定の段階でかなり厳しく刈り込まれたぶどう樹は、収量を抑えられ、さらに収穫された果実は十分なトリが付されています。赤は、除梗は一切おこなわず野生酵母によるゆっくりとした発酵の後、フードル9割、残りをピエスで約2年間の樽熟。その間オリ引きと卵白によるコラージュのみでフィルトラシヨンはなしで瓶詰め。白は、新樽8割と旧樽2割での樽発酵後、1年ほどの樽熟成。ともかくつくりも、ぶどう栽培同様、極力昔ながらの自然なやり方を踏襲しています。
ワインは赤、白ともにしっかりした酒躯に繊細さとうまみがバランスする、非常に完成度の高いもので、アフターも長く満足感は大きい。トレヴァロンを開けるということは、エロイ自らが畑を拓き、独自の品種構成で、有機栽培という昔ながらのやり方で生んだワインを味わうということに他ならず、テロワールとそれに伍するつくり手の個性、これこそがトレヴァロンの愉しみなのです。