アンドレ・クルエ/Andre Clouet

Andre Clouet
ブージーの土壌が語る、ピノ・ノワールの真髄
シャンパーニュ地方モンターニュ・ド・ランス地区の南斜面、グラン・クリュ村ブジー(Bouzy)。この地はピノ・ノワールの理想郷と称され、幾世代にもわたり偉大なシャンパーニュを生み出してきました。その中心でひときわ輝きを放つ生産者が、アンドレ・クルエ(André Clouet)です。
1741年の創業以来、ブージーとアンボネーの自社畑でブドウを育て続けてきた家族経営のドメーヌであり、現在は8代目にあたるジャン=フランソワ・クルエ(Jean-François Clouet)がその舵を取っています。王室御用印刷業を営んでいた祖先に由来するエレガントな装飾ラベルと、クラシカルでありながら現代的な醸造哲学が、アンドレ・クルエの唯一無二の魅力を形づくっています。
クルエ家の歴史は15世紀にまで遡ります。家族は当初、ルイ15世に仕えた王室印刷職人として名を馳せ、同時にブジーで葡萄栽培を行っていました。印刷業に通じた芸術的感性は、後のワイン造りにも息づいており、華美でありながら秩序ある美を志向する彼らのスタイルに結びついています。18世紀半ばに正式に「メゾン・アンドレ・クルエ」として独立した後も、ブジーと隣村アンボネーに計約8ヘクタールの自社畑を守り続け、シャンパーニュの伝統と村の誇りを体現してきました。すべての畑がグラン・クリュに格付けされており、その豊かな日照とチョーク質の粘土石灰土壌が、ピノ・ノワールに力強さと繊細さを同時に授けます。
現在の当主ジャン=フランソワ・クルエは、伝統を重んじながらも革新を恐れない造り手です。彼はしばしば「われわれは“ピノイズム”の実践者だ」と語ります。すなわち、ピノ・ノワールというブドウを通して土地そのものの精神を映し出すことが、アンドレ・クルエの使命なのです。
