レ・キャトル・ピリエ/Les Quatre Piliers

レ・キャトル・ピリエ-Wine Library

Les Quatre Piliers

ポール・ピヨ、コシュ・デュリで経験を積んだロワールの注目株

レ・キャトル・ピリエはヴァランタン・デロージュ氏が営むワイナリー。ワイン生産者の息子であったデロージュ氏は、父から知識を吸収するとともに、様々なワイナリーで修行を積みます。アルザスのヴァンサン・シップ、サン・テミリオンのシャトー・マンゴ、シャサーニュ・モンラッシェのティエリー・エ・ポール・ピヨ、さらにはコシュ・デュリでも経験を積みます。その後、故郷であるロワール地方、トゥーレーヌへと戻り、そこで得た経験を活かしたワイン造りを行っています。

レ・キャトル・ピリエの畑は、トゥレーヌでも特にシェール川沿いの地勢に位置し、粘土・石灰・燧石(フリント)を含む複合的な土壌構成と、川辺の冷涼な風、白亜質トゥフォー採掘跡地の地下構造による自然の換気/排水力という、見過ごされがちなテロワールの“声”を拾う条件に恵まれています。  全体で10 ヘクタール弱の畑は約15の小区画に細分されており、一区画が100平方メートル程度というものも含まれる、まさに“細胞的な畑づくり”の実践です。 そのうち半分は白ワイン向きとしてソーヴィニヨン・ブランとシュナン・ブランが、残りの半分ではカベルネ・フラン、ピノ・ノワール、マルベックなど赤品種が植えられ、有機栽培とビオディナミ的な管理が導入されています。 

次世代の逸材が紡ぐテロワールの個性

レ・キャトル・ピリエのワインは、まず「土地の声」を投影する鋭敏な酸とクリアなミネラルが目立ちます。白ワインでは、ライムの皮、潮風を思わせる塩味、ハーブの香りが立ち、ベースにある石灰質の土壌が余韻として残ります。熟成を重ねると蜜やナッツ、焼きリンゴのニュアンスが顔を出してきます。赤ワインでは、チェリーやラズベリーの赤系果実とともに、鉄分や土、燻製を感じさせる香りが現れ、タンニンはしなやかでありながらきちんと存在感を備え、果実とミネラルが互いに響き合うスタイルです。利用された樽は、それ自体が主張するのではなく、果実と土壌の「対話」がささやきあうように設計されています。トゥレーヌという、ワイン界ではやや影の存在となりがちな地域で、レ・キャトル・ピリエは「地方品種」「細区画」「自然派管理」「造樽まで自ら手がける」という複数の注目ポイントを同時に備えており、新時代の幕開けを予感させます。実際に評論家からも「ロワールの最注目若手」「精緻かつ深いワイン」といった賞賛を受けており、今後の躍進も期待されています。 

代表的なキュヴェ

2021 グラン・キュヴェ・ベル・エール / レ・キャトル・ピリエ

レ・キャトル・ピリエのフラッグシップ「ベル・エール」は、シェール川左岸の南西向き斜面に広がる2haの区画から生まれます。この畑にはドメーヌ最古となる樹齢55〜65年のソーヴィニヨン・ブランが植えられており、非常に凝縮感のある味わいが魅力です。香りは柑橘や青リンゴのようなフレッシュな果実から、熟度の高いパイナップル、そして豊かで華やかな花の香りまで、幅広いアロマが感じられます。高い酸とミネラルが中心となった力強いストラクチャーが感じられ、決してパワフルではないものの、繊細さの中に溢れるエネルギーを秘めています。一口飲んでから次に飲むまでの間、複雑で長い余韻が続き、味覚と心を深く満たし続けるでしょう。年間生産量は約7,000本です。


2023 ピノ・ノワール / レ・キャトル・ピリエ

酸味のある赤スグリ、チェリー、フレッシュなスパイス、そして繊細な樽香が感じられる。しなやかで、ジューシーな果実味が広がり、フレッシュで精密なアタックが特徴。カリッとした果実感が、細かくシルキーなタンニンによって引き締められている。
火打石と石灰岩土壌。オーガニック栽培。