バレンシソ

Valenciso
リオハ随一のエレガントスタイルを確立した注目生産者
リオハの主要品種であるテンプラニーリョに理想的な粘土石灰質土壌が、味わいにエレガンスと力強さをバランスよくもたらす。また、大西洋の影響を受けた比較的雨が多く涼しげな気候と、夏の夕方の気温を和らげる北風が、ブドウの酸を保持し、複雑なアロマを生みだす。このリオハ・アルタの北部で育つテンプラニーリョのエレガンスとフィネスを表現すべく、1998年に設立されたボデガ(ドメーヌ)がバレンシソだ。畑は海抜400-600mにあり、灌漑はしていない。ワイン造りでは畑仕事が最も重要だと語る彼らは、サステイナブル・アグリカルチャーでブドウ栽培を行っている。殺虫剤などの化学薬品は使わず、有機農法に加えビオディナミの手法も取り入れており、剪定や調剤をまく時期を月の運行に合わせて決めている。リオハでいち早くビオディナミを導入した数少ない生産者のひとりだが、彼らはビオかどうかよりもブドウのクオリティを第一に考えて畑仕事に取り組んでいるため、ビオ認証は取得していない。加えて、収量制限も厳しく、バレンシソの収穫量は通常の年でもリオハの平均より25%少ない。
評論誌絶賛のリオハ格付け2級ボデガへ
バレンシソは比較的新しいボデガだが、設立者であり醸造家でもあるルイスとカルメンのリオハでのワイン造りのキャリアは30年にも及ぶ。醸造所設立以前は、ともにボデガス・パラシオで働き、ワイン造りを学んだ。特に彼らは、1985年から1998年に同社のオーナーだったジャン・ジェルヴェを師と仰いでいる。ジャンはパラシオのみならず、リオハのワイン造りに改革をもたらした人物だ。スペインで初めてミシェル・ロランをコンサルタントとして招き、ブドウの選果、発酵温度の管理、長い発酵期間、フレンチオークでの熟成など、フランスから最新の技術を導入し、世界を視野に入れたモダン・リオハを生み出した。
バレンシソのワイン造りもここでの経験を原点としており、醸造には温度管理可能なコンクリートタンクを採用。自然酵母でゆっくりとアルコール発酵を行い、熟成にはフレンチオークのみを用いている。ワイン造りの手法は現代的だが、味わいはいわゆるモダンなワインとは一線を画す。彼らが求めるのは、「香りで輝く、アロマの厚みがあるワイン」であり、テンプラニーリョの果皮からの要素を十分に引き出すべく、発酵には時間をかける一方、必要以上の抽出を避けるため、ブドウは破砕せず、ピジャージュもしない。オークではなく、果実の表現に重点を置いた彼らのワインは、香り高さもさることながら、テクスチャーの滑らかさや各要素の細かさと一体感が素晴らしい。その完成度の高さから、Wine Advocateでは、「スタイル的に分類するのであれば、『モダン』なリオハのカテゴリーに入れられるだろうが、個人的にはただ『おいしい』リオハに分類したい」と評され、スペイン北西部の優良生産者を特集した『Finest Wine』では、リオハのお買い得10傑に選ばれた。更に、ティム・アトキンがボルドー・メドックの格付けになぞらえ、品質重視でリオハを1級から5級に分類したレポートでは、2級に格付けられ、2008ヴィンテージのレゼルバは、このカテゴリーのワイン・オブ・ザ・イヤーに選出されている。