シャトー・ディッサン / Château d'Issan

シャトー・ディッサン - Wine Library

Château d'Issan

「王の食卓と神の祭壇のために」——1152年のアリエノール・ダキテーヌの婚礼に供された伝説のワインが1855年第三級格付けとなるまで

シャトー・ディッサンは、ボルドーマルゴーアペラシオン南部カントナック村に位置する1855年格付け第三級のシャトーです。「FOR THE TABLE OF KINGS AND THE ALTAR OF GODS(王の食卓と神の祭壇のために)」という古来のモットーが示す通り、歴史的な文書によればこのエステートの前身「ラ・モット・カントナック」で造られたワインが1152年のアリエノール・ダキテーヌとイングランド王ヘンリー2世の婚礼に供されたとされており、メドックでも最も古い歴史を持つワイン生産地のひとつです。現在の建物は1575年にエスノー男爵が中世の城塞を取り壊して建設したもので、「ディッサン」という名もこの一族に由来します。堀、跳ね橋、尖塔が残る美しい城館は1970年に国定歴史建造物として指定されており、マルゴーで最も絵になるシャトーのひとつとして訪問者を魅了しています。

1945年にクリュズ家がエステートを取得した当時、第二次大戦の荒廃により畑はわずか5ヘクタール以下しか稼働しておらず、1945年のワインは隣のロザン・セグラで醸造しなければならなかったほどの苦境にありました。その後クリュズ家が長年かけて復興を進め、1998年に三代目エマニュエル・クリュズが29歳で経営を引き継ぐと、1,000万ユーロ以上を畑と醸造設備に投資。ソーティングテーブルの導入、空気圧式プレス機の新設、土壌研究と植え替え、新セラーの建設など大規模な品質向上を主導し、マルゴーの真の実力者として確立しました。2013年にはシャトー・ペデスクロー(ポイヤック)とシャトー・リリアン・ラドゥイ(サン・テステフ)も所有するジャッキー・ロレンゼッティ家が50%の株式を取得し、クリュズ家との共同経営体制となっています。

クロが心臓、砂利が魂——「魔法のようなエレガンスと精緻なタンニン」が定義するエマニュエル・クリュズのイッサン・スタイル

畑は合計52ヘクタールで、エステートの中心に石壁で囲まれた「クロ」と呼ばれる区画が存在し、グラン・ヴァンとセカンドワインは「クロ」から排他的に生産されます。土壌はジロンド河口の沖積丘陵(高さ最大15メートル)の砂利表土と粘土下層というマルゴー特有のテロワールで、ヴィニョン9,000本/ヘクタールという高密植で植えられています。品種構成はカベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロー30%、カベルネ・フラン2%、プティ・ヴェルドー(1948年植樹の古木)2%、マルベック1%という5品種体制です。区画ごとにステンレスタンクで個別醸造した後、16〜18ヶ月フレンチオーク新樽50%で熟成されます。エマニュエルが「魔法のようなエレガンス、高品質で精緻なタンニンの質感」と表現するイッサン・スタイルは、1995年に導入されたセカンドワイン「ブラゾン・ディッサン」と、2024年ヴィンテージからリリースされた白ワイン「ジャルダン・ディッサン」が補完しています。なお2025年ヴィンテージはクリュズ家がエステートを所有してから80回目のヴィンテージとして、ドメーヌにとって特別な意味を持つ節目の年となっています。