シャトー・サン・サチュルナン / Chateau Saint-Saturnin

Chateau Saint-Saturnin
遅摘みと、樽を使わないタンク熟成が生む、ボルドーの異端者
シャトー・サン・サチュルナンは、ボルドーのメドック地区最北部、ジロンド河口に近いベガダン村に位置するドメーヌです。オーナーのアドリアン・トラミエはアルジェリア出身で、家族が大規模なブドウ畑を経営していた土地でワイン文化を吸収し、1964年に醸造学を学ぶためモンペリエへ渡りました。1968年、ベガダン村にわずか3ヘクタールの小さな農場を購入したことがシャトー・サン・サチュルナンの始まりです。その後70年代前半にかけて畑を拡大し、現在の規模を形成しました。ジャンシス・ロビンソンが「メドックのアウトサイダー(The Médoc Outsider)」と評したように、このドメーヌはボルドーの常識からことごとく外れた独自の哲学で際立っています。
トラミエの哲学は三つの柱で成り立っています。第一は超遅摘みです。「他の皆が収穫を終えた頃に自分は始める」という姿勢を貫き、2009年ヴィンテージでは10月20日まで収穫を待ちました。これによりメルロー(65%)と各カベルネは完熟の凝縮感を得ます。第二は無樽熟成です。ボルドーでは当然とされる樽(バリック)を一切使用せず、屋外に置かれたものを含む複数の大型ステンレスタンクでゆっくりと熟成させます。このアプローチが果実の純粋さを守り、樽香に隠れることなくテロワールを直接語るワインを生み出します。第三は超長期熟成です。ワインは必要なときだけ販売するという方針のもと、タンク内で数十年にわたって熟成させることも珍しくありません。「ワインは長期熟成の中でゆっくりと変容し、余分なものを脱ぎ捨てながらミレジメの本質だけを表現するようになる」とトラミエは語ります。