ゲヴュルツトラミネール / Gewurztraminer
Gewurztraminer
トラミン村の「香り高いブドウ」——アルザスが完成させた、ライチとバラが爆発する最も個性的な白ブドウ
ゲヴュルツトラミネール(ゲヴェルツトラミネールとも表記)は、その名がドイツ語で「香り高いトラミナー」を意味する白ブドウ品種です。原産地はイタリア南チロル(現在の南アルトアディジェ)のトラミン村とされており、中世からこの地に存在したトラミナーという品種が変異を重ねて生まれたと考えられています。フランス・アルザスにおいてその個性が最も磨かれ、グラン・クリュに認められた4品種のひとつとして最高評価を受けています。アルザス以外ではドイツのファルツやバーデン、オーストリア、ニュージーランド、チリ、カリフォルニアなどでも栽培されていますが、アルザスの石灰質・花崗岩・粘土質の多様な土壌と大陸性気候がこの品種の最高表現を引き出すとされています。
ゲヴュルツトラミネールは果皮がピンク〜銅色という珍しい外観を持つ白ブドウで、完熟すると糖度が急激に上昇する晩熟品種です。アロマ化合物(主にテルペン類)の含有量が極めて高く、品種そのものが強烈な香りを持つという他の白ブドウにはほとんど見られない特質を備えています。酸はやや控えめになりやすく、アルコール度数は高めになる傾向があります。収穫のタイミングの見極めが難しく、早摘みでは個性が出きらず、遅摘みでは酸が急速に失われるため、醸造家の判断が品質を大きく左右します。
ライチとバラと生姜——世界で最も識別しやすい白ワインのアロマが示す、ゲヴュルツトラミネールの唯一無二の個性
ゲヴュルツトラミネールのワインは、ライチ、バラの花びら、生姜、白胡椒、マンゴーのアロマが爆発的に広がる、世界で最も識別しやすい白ワインのひとつです。口当たりはリッチでオイリー、アルコールのボリューム感とともに渾然一体となった官能的なスタイルが多く、リースリングの緊張感とは対照的な、包み込むような豊かさが魅力です。アルザスでは辛口(トロッケン)から、遅摘みの「ヴァンダンジュ・タルティーヴ」、さらには貴腐菌の影響を受けた「セレクシオン・ド・グラン・ノブル(SGN)」まで、糖度の異なる多様なスタイルが生産されます。個性の強さゆえに料理との組み合わせを選ぶ面もありますが、アルザスのシュークルートや鴨のコンフィ、フォアグラ、アジアのスパイシーな料理との親和性が特に高く評価されています。