エルミタージュ / Hermitage

Hermitage

十字軍の騎士が隠遁した花崗岩の丘——北ローヌの頂点に立つ、シラーの精神的故郷

エルミタージュは北ローヌのタン・レルミタージュ村を見下ろす、標高約340メートルの花崗岩の丘に広がるアペラシオンです。その名は1224年、アルビジョア十字軍から負傷して帰還した騎士ガスパール・ド・ステリンベルグが、フランス王妃の許しを得てこの丘に隠遁所を築いたという伝説に由来し、「隠者(エルミット)」を意味します。丘の頂に立つ礼拝堂は今もポール・ジャブレ・エネが所有しています。1642年にはルイ13世がこの地のワインを宮廷の正式なワインに定め、ロシア皇帝にも輸出されるなど、ヨーロッパ各国の王侯貴族に愛されてきた歴史を持ちます。19世紀には「エルミタージュされた」ボルドーワインという表現が生まれるほど、品質向上のためにブレンドされることもありました。

わずか140ヘクタールという小さな面積の中に、レ・ベサール、ル・メアル、レルミット、レ・グレフィユーなど多様な土壌を持つ20ほどのリュー・ディが存在します。最も花崗岩質の強いレ・ベサールは骨格の強いタンニンを、礫質のル・メアルは豊かでリッチなスタイルを、礼拝堂周辺のレルミットはより繊細で優美な表現を生みます。シラーを主体に最大15%のマルサンヌ・ルーサンヌの混醸が認められた赤ワインに加え、両品種から造られる長期熟成型の白ワインも生産されています。1481年から続くドメーヌ・ジャン=ルイ・シャーヴシャプティエ、ジャブレ・エネが代表的な造り手として知られています。

革と黒コショウ、40年を超える熟成力——「ラ・シャペル」が証明したシラーの頂点

エルミタージュのワインは、革、赤い果実、土、カカオのアロマと高いタンニンを持ち、40年にも及ぶ長期熟成能力で知られています。ジャブレ・エネの「ラ・シャペル」は1945年の初リリース以来、1961年や1990年のヴィンテージが伝説として語り継がれる、エルミタージュの代名詞的存在です。コート・ロティの優美さに対し、エルミタージュは「ビロードに包まれた鉄拳」と称されるほどの力強さを持ち、北ローヌのシラーが到達できる頂点を体現しています。