コート・ロティ / Côte-Rôtie
Côte-Rôtie
「焼かれた丘」が示す名の由来——ブロンドとブリュンヌ、二つの土壌が紡ぐ北ローヌの頂点
北ローヌの玄関口に位置するコート・ロティは、紀元前600年頃にギリシャ人入植者によって開かれたとされる、フランスでも最も古い歴史を持つブドウ畑のひとつです。その名は「焼かれた斜面」を意味し、南向きの急斜面が一日中強い陽射しを受ける地形に由来します。16世紀、城主モージロン侯爵が領地を二人の娘に分け与えたという伝説があり、これが畑を「コート・ブロンド(金髪の丘)」と「コート・ブリュンヌ(褐色の丘)」に分ける呼び名の起源とされています。アンピュイ村を中心に、サン・シル・シュル・ル・ローヌ、テュパン・エ・セモンの3村のみがこの名を名乗ることを許されています。
コート・ブロンドは花崗岩質の砂質土壌を持ち、ヴィオニエとの相性が良く、より優美で華やかなワインを生みます。一方コート・ブリュンヌは鉄分を含む片岩質土壌で、より力強くタンニン豊かなワインを生み出します。シラーを主体に、最大20%までヴィオニエの混醸が認められているのがこの産地の伝統で、わずかな白ブドウの存在がシラーの色調や香りに優美なニュアンスを加えます。20世紀には一時衰退の危機にありましたが、1970〜80年代にマルセル・ギガルが手がけた単一畑キュヴェ「ラ・ムーリンヌ」「ラ・ランドンヌ」「ラ・テュルク」(通称ラ・ラ・ラ)が世界的な評価を獲得し、産地全体の復興を牽引しました。
スミレと黒胡椒、急斜面が育む優美なシラー——ギガルが切り拓いた世界的評価への道
コート・ロティのワインは、ブラックベリーやスミレ、燻製のニュアンスが重なる華やかなアロマと、エレガントな構造が特徴です。エルミタージュの力強さとは異なる、洗練された優雅さで知られています。ギガルをはじめ、ジャメ、ロスタン、ジャスマンなど名だたる造り手が小さな急斜面にひしめき合い、それぞれが独自のスタイルでこのテロワールを表現しています。