妖艶な香りを醸し出す希少な熟成バローロ
| 商品名(原語) |
Barolo
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|---|---|
| タイプ | 赤 / 750ml |
| 産地 | Italia / Piemonte |
| 生産者名 | Marchesi di Barolo |
| 生産年 | 1988 |
| ぶどう品種 | Nebbiolo |
| 輸入元 |
Firadis |
| 備考 |
*お届けするヴィンテージは1988年でございます。 軽微なラベルがございます。 |
![]() Marchesi di Baroloバローロの歴史そのもの、伝統と革新を継ぐピエモンテの至宝マルケージ・ディ・バローロ(Marchesi di Barolo)は、イタリア、ピエモンテ州のランゲ地方、クーネオ県バローロ村に拠点を置く、最も歴史的かつ象徴的なドメーヌの一つです。この生産者の物語は、そのままイタリアワイン史における「バローロ」という偉大なワインが誕生し、世界に羽ばたいた歴史と深く結びついています。彼らのワインは、ネッビオーロ種が持つ力強さ、優雅さ、そして長期熟成のポテンシャルを究極の形で表現しており、まさにバローロの伝統と権威を体現する存在として、国際的に高く評価されています。 このドメーヌのルーツは、19世紀初頭に、バローロの地を治めていたファレッティ侯爵家(Marchesi Falletti di Barolo)に遡ります。彼らの畑は、バローロ村の中でも特に優良な区画を多く含んでおり、その品質は当時から際立っていました。しかし、マルケージ・ディ・バローロの名声を決定づけたのは、侯爵家の最後の当主であったジュリア・ファレッティ(Giulia Falletti di Barolo)侯爵夫人です。彼女は、隣国のフランス、特にボルドー地方の近代的な醸造技術に深い関心を持ち、当時フランスで活躍していた醸造学者を招き入れました。 当時、ピエモンテのネッビオーロ種から造られるワインは、甘口または半甘口の傾向があり、長期熟成には向かないものとされていました。しかし、ジュリア侯爵夫人は、フランスの専門家の助言に基づき、完全に辛口で、かつタンニンと酸を活かした長期熟成型の赤ワインを完成させました。これが、現在の私たちが知る「バローロの原型」です。このワインは、サヴォイア家やイタリア王室に献上され、「王のワイン、ワインの王」として瞬く間にその名声を確立しました。この歴史的な背景こそが、マルケージ・ディ・バローロという名前が単なる生産者名ではなく、バローロというアペラシオン全体の礎を築いた権威あるブランドであることを示しています。 侯爵家は1864年に断絶しましたが、その遺産と畑は、バローロ村の地元の名士であり、ブドウ栽培と醸造に深い情熱を持っていたアボナ家(Abbona family)によって1929年に引き継がれました。現在に至るまで、アボナ家がドメーヌの伝統と品質を守り続けており、特に伝統と近代技術の融合に成功したことで、マルケージ・ディ・バローロは現代においてもトップクラスの地位を維持しています。 ネッビオーロの個性を引き出す長期熟成マルケージ・ディ・バローロの畑は、ピエモンテ州ランゲ地方の丘陵地帯に広がり、その総面積は100ヘクタール以上に及びます。彼らの最大の強みは、バローロとバルバレスコの最も重要な村々(バローロ、セッラルンガ・ダルバ、カスティリオーネ・ファッレット、ラ・モッラ、バルバレスコなど)の主要なクリュ(単一畑)を所有している点にあります。この多様なテロワールの所有が、ドメーヌに深い複雑性と一貫した品質をもたらしています。 ネッビオーロという品種は、非常にデリケートで、植えられた場所のテロワールを忠実に反映する「鏡」のような性質を持っています。マルケージ・ディ・バローロは、この品種の潜在能力を最大限に引き出すため、伝統的な低収量を守り、ブドウの生理学的成熟を待ってから手摘みで収穫することを徹底しています。彼らのワインに見られる複雑で層の厚いアロマは、この細部にわたる徹底した畑仕事の結晶と言えます。 マルケージ・ディ・バローロの醸造哲学は、「伝統を尊重し、革新的な技術を品質向上のために利用する」というバランスの取れたアプローチに基づいています。彼らの醸造所には、樹齢数十年、容量数千リットルにも及ぶ伝統的なスロベニア産オークの大樽が並んでおり、これはバローロが長期にわたって酸素と穏やかに触れ合いながら熟成するために欠かせない要素です。彼らは、新樽を多用してワインに強いオークの風味を付ける現代的な手法ではなく、大樽によるゆっくりとした熟成を重視しています。 彼らは温度管理の徹底、最新鋭の除梗・破砕機の使用、そして厳格な衛生管理など、現代的な技術も積極的に取り入れています。これは、伝統的なスタイルが持つエレガントさを守りながらも、ヴィンテージごとの品質のバラつきを最小限に抑え、一貫してクリーンでピュアな果実味を表現するためです。彼らの手掛けるバルバレスコもまた、バローロと同様の哲学で造られ、バローロよりも早く楽しめる、より優美でフローラルなスタイルを確立しています。 マルケージ・ディ・バローロのワインは、若い頃は力強いタンニンと引き締まった酸が印象的ですが、セラーで数年、あるいは数十年寝かせることで、その真価を発揮します。この長期熟成のポテンシャルこそが、彼らのワインを世界中のコレクターや愛好家にとって不可欠な存在としている理由です。マルケージ・ディ・バローロは、イタリア王室が愛した伝統と、現代の品質基準が融合した、ピエモンテの至宝と言えるでしょう。 |
