プリウレ・サン・ジャン・ド・ベビアン / Prieuré Saint Jean de Bébian
Prieuré Saint Jean de Bébian
ローマ帝国の退役軍人「ベビアヌス」の名が刻まれた1152年の修道院——シャーヴのシラー、ラヤスのグルナッシュ、タンピエのムールヴェードルが集結したラングドックの革命的テロワール
プリウレ・サン・ジャン・ド・ベビアンは、ラングドック地方ペゼナスに位置する、1152年の歴史を持つ伝説的なドメーヌです。その名はローマ皇帝アウグストゥスの時代に共和国のために25年間戦った退役軍人ベビアヌスがこの土地を授与されたことに由来し、12世紀にはシトー会修道士の手でブドウ栽培が確立されました。フランス革命後に国有財産として売却され、1952年にモーリス・ルーが購入して現代の物語が始まります。転換の立役者となったのは息子のアラン・ルーで、1970年代から量より質を追求する改革に着手しました。彼が行った最も大胆な選択が、最高品質の産地から厳選したマサル・セレクションによる植え直しです——ジャン=ルイ・シャーヴからのシラー、シャトー・ラヤスからのグルナッシュ、ドメーヌ・タンピエからのムールヴェードルというローヌとプロヴァンスの最高峰のブドウがここに集結しました。地中海の伝統品種であるサンソーとカリニャンの古木を大切に保存しながら、シャトーヌフ・デュ・パプの伝統的な13品種(ルーサンヌ、マルサンヌ、クレレット、クーノワーズ、グルナッシュ・グリなど)も加え、合計13品種がこのドメーヌの財産を構成しています。
1994年にフランスの権威ある評論誌『ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス』の元編集長シャンタル・ルクティとジャン=クロード・ル・ブランが取得し、アラン・ルーの哲学を継承しながら国際的な名声をさらに高めました。シャンタルがセラーでの醸造を、ジャン=クロードが販売を担うという分業体制のもと、ミシェル・ローラン(ボルドー)とミシェル・シャプーティエ(ローヌ)という豪華なコンサルタントも関与したとされています。2008年、ロシアの実業家アレクサンドル・ポンピャンスキーが取得し(後に同氏は2020年にドメーヌ・ガヌヴァも取得)、新しいキュヴリーへの投資と区画別醸造の徹底を進めました。2015〜2016年には醸造責任者のブノワ・ポンテニエがガヌヴァのアプローチに倣ったビオディナミ・無介入の醸造哲学を導入。2022年のロシアによるウクライナ侵攻後にフランス当局のロシア資産介入によりポンピャンスキーがワイン業界から撤退を余儀なくされ、現在は新たな体制のもとで運営が継続されています。
セヴェンヌ山麓の49区画・32ヘクタール——「スタイル的にはブルゴーニュに近い」と評されるラングドックの大使
畑はセヴェンヌ山脈の南側山麓、南〜南西向きの49区画・32ヘクタールに広がります。バザルト(玄武岩)と石灰岩が混在する土壌がシラーを主体にグルナッシュ・ムールヴェードルの複合的なアッサンブラージュに理想的な環境をもたらしています。収穫はラングドックの一般的な収穫より15日以上遅い極晩摘みを実践し、化学肥料ゼロのリュット・レゾネを基本としてきました。赤ワインはフラッグシップの「プリウレ(Prieuré)」と少量生産の「ラ・シャペル(La Chapelle)」、白ワインはヴェルメンティーノを全房圧搾してフードルで12ヶ月熟成(無デブルバージュ)という構成で、量より質を徹底したキュヴェ構成を保っています。「スタイル的にはラングドックよりもブルゴーニュに近い」というワイン評論家の言葉が示す通り、ラングドックというカテゴリーを超えた普遍的な品質を追求し続けるドメーヌとして、産地のフラッグシップ的な存在であり続けています。
