トゥーレーヌ / Touraine

Touraine

1939年AOC・5,300ha・150村・600以上の生産者——シャトー街道の中心に広がるロワール最大の産地が、シュナン・ブランからカベルネ・フランまで多彩なスタイルで世界を魅了する

トゥーレーヌはロワール渓谷の中心に位置する広大なAOCで、1939年に認定を受けました。インドル=エ=ロワール県を主体に3県にまたがる約5,300haの栽培面積に150村・600以上の生産者が点在し、「フランスの庭園」と称されるロワール最大規模の産地です。栽培品種は白・赤・ロゼ・スパークリングにわたり非常に多様で、白ワインにはシュナン・ブランとソーヴィニョン・ブランが主体。赤にはガメイ・カベルネ・フラン・コット(マルベック)が使われます。白ワインの比率はソーヴィニョン・ブランが約43%と最大で、ガメイ21%・カベルネ・フラン10%・コット8%と続きます。

トゥーレーヌのテロワールを特徴づけるのは「トゥーフォー」と呼ばれる白い凝灰質石灰岩です。チューロニアン期(白亜紀後期)に堆積したこの石灰岩は加工が容易で、各地のシャトーの建設材料に使われると同時に、ブドウ畑の土壌として優れた水はけと温度調節機能を提供します。川沿いには砂と礫を含む沖積土壌も広がり、フリント(ケイ石)を含む粘土が混在する区画もあります。これらの土壌の違いが、各サブアペラシオンのワインスタイルの差を生み出す根底にあります。クレマン・ド・ロワールの生産も盛んで、シュナン・ブランを主体にシャルドネなどをブレンドした上品な泡ものが造られています。

ヴーヴレー・シノン・ブルグイユ——トゥーフォー石灰岩が生む5つのサブAOCが、シュナン・ブランとカベルネ・フランのポテンシャルを余すところなく引き出す

トゥーレーヌ内には個性的なサブアペラシオンが点在します。ヴーヴレーはロワール川右岸でシュナン・ブラン単一品種の白のみを生産し、ドライから甘口・スパークリングまで多様なスタイルが揃います。良好な熟成条件下では40年以上の熟成が可能とされる例もあり、シュナン・ブランの長熟ポテンシャルを世界に示す銘醸地です。カベルネ・フランの主要産地はシノン・ブルグイユ・サン=ニコラ=ド=ブルグイユの3地区。シノンは果実感が控えめで繊細なスタイル、ブルグイユは砂礫土壌の早飲みタイプとトゥーフォー土壌の熟成タイプが共存し、サン=ニコラ=ド=ブルグイユは赤い果実の風味が鮮やかで10年超の熟成にも耐える力強さを持ちます。

トゥーレーヌ・アンボワーズではアンボワーズ城周辺の10村で白から赤・ロゼまで幅広いスタイルが揃い、アゼ=ル=リドーではシュナン・ブランの白とグロロー主体のロゼが造られます。基本アペラシオンの「トゥーレーヌ」表示のワインはソーヴィニョン・ブランの白が中心で、フレッシュでコクのあるドライ白ワインが手頃な価格帯で揃います。なかでもガメイ主体の「トゥーレーヌ・プリムール」は生産した年だけ販売できる新酒スタイルで、ボジョレー・ヌーヴォーと並ぶ秋の風物詩として親しまれています。品種の幅広さと価格帯の多様性、そして各サブアペラシオンの確かな個性が、ロワールをワイン入門から上級者まで惹きつけ続ける懐の深さを体現しています。