カーヴ・デクラ / Cave d'Éclat


Cave d'Éclat

田崎真也氏の店でソムリエを17年——北海道余市の谷間に自ら切り拓いた急斜面の畑で、ほぼ無農薬・野生酵母・手除梗・足踏み破砕という徹底した手仕事からブルゴーニュ品種の日本ワインを造る出蔵哲夫の挑戦

Cave d'Éclat(カーヴ・デ・クラ)は北海道余市郡余市町に拠点を置く日本の小規模ワイナリーです。設立者の出蔵哲夫氏は北海道出身で、東京では日本ソムリエ協会会長の田崎真也氏がオーナーを務めるレストランに約17年間勤務し、ソムリエとして研鑽を積みました。2007年頃から数年かけて主に山梨のワイナリー約100件を訪ね歩き日本ワインの可能性に開眼。2010年頃には同志と「日本ワイン振興ネットワーク」を立ち上げ、海外ワイン愛好家層へ日本ワインを紹介するセミナーやイベントを約2年間展開しました。その後「農業とワインを掛け合わせ、普段ワインを飲まない人に届けたい」という思いから就農を決意。2014年から2年間の研修を経て2016年に余市で畑を取得し、ワイナリー名は自身の苗字「出蔵(でくら)」と「éclat(輝き・閃光)」を組み合わせて名付けました。

畑は余市の谷合いに広がる急斜面に位置し、海へ向かう南西の風が通る風通しと水はけに優れた立地です。メイン品種はブルゴーニュワインの余韻と酸への憧れから選んだピノ・ノワールとシャルドネで、少量のメルロー、ゲヴュルツトラミネールも植えています。化学肥料や一般的な化学農薬は使用せず、有機系農薬を最小限にとどめるビオロジック的な栽培を実践。自然界のバランスを崩さないよう畑を細かく観察しながら管理するため、収量は慣行栽培の約10分の1に留まる年もあります。ワイナリーブームによる苗木不足もあり、1区画の植え付けに約5年を要した経緯もあります。

手除梗・足踏み破砕・野生酵母・亜硫酸最小限——「ぶどうが行きたい方向に後押しする」クリーン&ナチュラルの哲学が、余市の斜面畑から引き出すピノ・ノワールとシャルドネの純粋な表情

醸造は現在委託醸造で行っており、2022年ヴィンテージは上川郡東川町の雪川醸造で仕込み、余市から約300kmをかけてブドウを輸送しました。除梗はすべて手作業、破砕は足踏みで行い、ボランティアとともに作業するスタイルが定着しています。発酵は野生酵母を使用し、亜硫酸(酸化防止剤)は必要最低限にとどめます。出蔵氏は「ぶどうが行きたい方向に後押しするのが自分の仕事」と語り、人工的な手を加えない「クリーン・アンド・ナチュラル」を信条としています。現在は自社醸造所の建設を進めており、酸素透過性による熟成の違いに着目したコンクリートタンクの導入も計画中です。

主なキュヴェはピノ・ノワール単独の赤ワイン「ル・タブー」、パストゥーグランスタイルの「p-t バトン」(ピノ・ノワール+ツヴァイゲルトレーベ)、そして微発泡ロゼの「パックス(PACS)」です。「パックス」はナイヤガラとピノ・ノワールというフランス系・アメリカ系品種の組み合わせで、フランスのパートナーシップ制度「PACS」にちなんで命名。ナイヤガラ由来の親しみやすい甘い香りとピノ・ノワールのふくよかさ・酸が融合し、普段ワインに縁のない人にも手が届くスタイルを意識しています。生産本数は非常に少なく、オンライン販売では即完売になることも多い、希少な日本ワインです。