フィリップ・ヴァンデル / Philippe Vandelle

Philippe Vandelle

1883年、エトワール村に根付いた六代目の家族経営——星化石の土壌が生む、ジュラの産地固有の白ワインと産膜酵母熟成の伝統

ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデルは、フランス東部ジュラ地方のエトワール(L'Étoile)村を拠点とする、1883年創業の六代続く家族経営のドメーヌです。初代オーギュスト・ヴァンデルがエトワール村にブドウ畑を構えて以来、父から息子へと剪定・ブドウの熟成・アルコール発酵・産膜酵母(ヴォワル)によるヴィエイスマン(酸化的熟成)の技術が受け継がれてきました。現当主フィリップは祖父ジョゼフのもとで幼い頃から丘の畑を歩いて育ち、2001年にドメーヌを引き継ぎました。2020年には六代目のヴァランタンが経営に加わり、伝統と革新の両立を図る新たな時代を迎えています。

ドメーヌの核心は、村を見下ろす「モン・モラン」という丘陵地帯に広がる畑です。卓越した日照条件と「リアス上部の白色泥灰土(マルヌ・ブランシュ・デュ・リアス・シュペリウール)」という独特の土壌がサヴァニャンの栽培に理想的な環境を提供し、ジュラの中でも際立った個性をワインに与えています。なおエトワール(étoile)という村名は、畑を耕すとクワ先に出てくる「ウミユリ(エクリン)」の化石が5枝の星(étoile)形をしていることにちなんでいます。エトワールは1937年7月31日、フランスで最初期のAOCのひとつとして認定されており、その白ワインの品質の高さが公式に認められた歴史を持ちます。

産膜酵母が生む「ジョーヌ(黄色)」の薫り——16ヘクタールのリュット・レゾネ農法が示す、ジュラ五品種の総合表現

現在のドメーヌは16ヘクタールの畑をリュット・レゾネ(減農薬農法)で管理し、ジュラの5品種すべてを栽培しています。白ワインにはシャルドネサヴァニャン、赤ワインにはトゥルソー、ピノ・ノワール、プールサールが用いられます。生産のラインナップは、エトワールの白ワインが主体で、クレマン・デュ・ジュラ(約30%)、コート・デュ・ジュラの赤ワイン(約10%)、ヴァン・ジョーヌ(約7%)、マクヴァン(約5%)、ヴァン・ド・パイユ(約1%)という幅広い構成です。主力キュヴェのひとつ「エトワール・ブラン」はシャルドネ80%・サヴァニャン20%を産膜酵母の膜(ヴォワル)のもとで熟成させることで、クルミや乾燥果実、スパイスのアロマを持つ「控えめにジョーヌ」とも評される複雑な白ワインに仕上げられます。ヴィエイユ・ヴィーニュ、ヴァン・ジョーヌ、ヴァン・ド・パイユという伝統的なジュラのスタイルを誠実に守りながら、シャルドネの「ブルゴーニュ的」な樽熟成スタイルも平行して手がけるなど、産地の多様な表現を体系的に示しています。