サヴァニャン / Savagnin

サヴァニャン - Wine Library

Savagnin

ジュラが守り続けた古来の白ブドウ——ヴァン・ジョーヌが語る、酸化熟成という唯一無二の世界

サヴァニャンは、フランス東部・ジュラ地方を代表する白ブドウ品種で、この地方固有の品種として古くから栽培されてきました。シャトー・シャロンやコート・デュ・ジュラにおいて、「ヴァン・ジョーヌ(黄色ワイン)」という極めて個性的なワインを生む唯一の品種として知られています。アルザスでも「サヴァニャン・ロゼ」や「クレヴネール」と呼ばれる近縁種が栽培されていますが、ジュラサヴァニャンとは醸造アプローチが大きく異なります。

サヴァニャンは晩熟で病害への耐性が高く、ジュラの石灰質・泥灰質土壌との相性が良い品種です。ヴァン・ジョーヌの醸造では、発酵後のワインを「ヴォワル(産膜酵母の膜)」と呼ばれる酵母の層の下で最低6年3ヶ月間、補酒(ウイヤージュ)を行わずに酸化的に熟成させます。この特殊な熟成方法によって生まれる風味は、フランスワインの中でも最も独特な個性のひとつとされています。

クルミとカレースパイス、産膜酵母が生む唯一無二の風味——ヴァン・ジョーヌが示す酸化熟成の美学

サヴァニャンのワインは、通常のスティルワインとして仕立てられた場合、リンゴや柑橘、ナッツのアロマを持つドライでミネラル感のあるスタイルになります。一方でヴァン・ジョーヌとして仕立てられたものは、クルミ、カレースパイス、ドライフルーツ、フェノール系の独特な香りを纏った、シェリーのフィノにも通じる酸化熟成由来の複雑な風味を示します。専用のクラヴラン(620ml)と呼ばれる細長い瓶に詰められることも、この特殊なワインのアイデンティティの一部です。世界的に見ても極めて少数派の存在ですが、フランスワインの多様性と独自性を象徴する品種として、知る人ぞ知る存在感を保っています。