ピノ・シュヴォシェ / Pinot-Chevauchet

Pinot-Chevauchet
二大産地の狭間に息づく、27区画4ヘクタールの家族経営——コトー・シュッド・デペルネが生む、グロワーシャンパーニュの静かな実力
シャンパーニュ・ピノ・シュヴォシェは、エペルネの南わずか6キロ、ムシーとピエリー・プルミエ・クリュの両村に27の区画・約4ヘクタールの畑を持つ四代続く家族経営のレコルタン・マニピュランです。現当主はディディエ・シュヴォシェとブリジット・ピノ夫妻で、自社栽培したブドウをすべて自社醸造・瓶詰めする完全な自立体制を維持しており、ブドウの売買を一切行いません。年間生産量は約32,000本という、シャンパーニュの大手メゾンとは対極のミクロ・プロデューサーです。
ドメーヌが位置する「コトー・シュッド・デペルネ(エペルネ南部の丘陵地帯)」は、ヴァレ・ド・ラ・マルヌとコート・デ・ブランという二大産地の間に挟まれた、シャンパーニュの著名なワインライター、ピーター・リエムが著書『シャンパーニュ』の中で「二つの巨人の間(Between Two Giants)」と題して特記するほど地質的に興味深いエリアです。ピノ・ムニエに典型的なマルヌの粘土質泥灰土を基盤としながら、コート・デ・ブランを特徴づける厚い白亜層が重なる複合的な土壌が、この産地固有のスタイルを生み出しています。三品種(ピノ・ムニエ、シャルドネ、ピノ・ノワール)をすべて栽培し、区画ごとの個別醸造(ヴィニフィカシオン・パルセレール)が信条です。
最低5年のヴィエイイスマン・シュル・リー——少量硫酸塩と持続可能農法が示す、ピノ・シュヴォシェの妥協なき品質哲学
ピノ・シュヴォシェの最大の特徴は、全キュヴェに最低5年間の澱上熟成(ヴィエイイスマン・シュル・リー)を課すという姿勢にあります。添加する亜硫酸塩は最小限に抑え、一部のキュヴェにはブルゴーニュのトップドメーヌから購入した旧樽を用いて短期間熟成させることで、フレッシュさを損なわない繊細な複雑さを加えています。30年以上にわたって自然草生栽培、機械除草、土壌への有機肥料使用、生物的防除という持続可能農法を実践し、2018年には「シャンパーニュの持続可能な農業(VDC)」と「高環境価値(HVE)」の認証を取得、さらに2025年からはビオロジックへの転換を開始しています。旗艦キュヴェ「ジョワイユーズ」(ピノ・ムニエ80%・シャルドネ20%)、ムニエ100%のブラン・ド・ノワール「ジェネルーズ」(ブリュット・ナチュール)、ピエリー・プルミエ・クリュのシャルドネ100%「ディスタンゲ」(エクストラ・ブリュット)など、品種と産地の個性を正直に映したラインナップが、世界中のグロワーシャンパーニュ愛好家から支持を集めています。