ピノ・ムニエ / Pinot Meunier
Pinot Meunier
シャンパーニュの縁の下の力持ち——再評価が進む、ヴァレ・ド・ラ・マルヌが育む黒ブドウの主役
ピノ・ムニエは、シャンパーニュ地方を代表する三大品種のひとつで、ピノ・ノワールの変異種とされる黒ブドウ品種です。その名は葉の裏面に粉をふいたような白い産毛が粉(フランス語:ムニエ=粉屋)を連想させることに由来します。シャンパーニュ地方ではヴァレ・ド・ラ・マルヌを主要産地とし、同エリアの栽培品種の過半数を占めます。長らく大手メゾンのアッサンブラージュにおいて補完的な役割を担うとされてきましたが、近年はその個性を前面に出した単一品種・単一村のキュヴェが注目を集め、品種としての再評価が急速に進んでいます。
ピノ・ムニエはピノ・ノワールよりも寒冷地への適応力が高く、春霜の被害を受けにくい晩芽性を持ちます。粘土質の重い土壌でも力を発揮し、ヴァレ・ド・ラ・マルヌのマルヌ川沿いの堆積土壌がこの品種に適した環境を提供しています。成熟が早く果実味が豊かなため、ノン・ヴィンテージのブレンドにおいてフレッシュさと丸みを与える素材として重用されてきました。
ブレンドの補完役から単独品種の主役へ——ムニエが語る、シャンパーニュのもうひとつの個性
ピノ・ムニエのシャンパーニュは、赤系果実のふくよかなアロマとやわらかな口当たり、丸みのある酸が特徴的です。シャルドネの緊張感やピノ・ノワールの骨格とは異なる、親しみやすくアプローチしやすいスタイルが若いうちから楽しめる点が魅力です。近年はキュミエール村をはじめとするヴァレ・ド・ラ・マルヌのレコルタン・マニピュランが、ムニエ単独のキュヴェで産地とテロワールの個性を表現する動きが活発化しています。シャンパーニュの三品種の中で最も長い間過小評価されてきたこの品種が、いま最も注目されているという事実は、シャンパーニュ探求の新たな視点として多くの愛好家を惹きつけています。