| 商品名(原語) |
Assemblages en Rouge «Grain Noir La Liaudisaz» |
|---|---|
| タイプ | 赤 / 750ml |
| 産地 | Switzerland |
| 生産者名 | Domaine Chappaz |
| 生産年 | 2017 |
| ぶどう品種 | Cabernet Franc / Cabernet Sauvignon / Merlot |
| 輸入元 | Vin X |
| 備考 |
*お届けするヴィンテージは2017年になります. |
Assemblages en Rouge «Grain Noir La Liaudisaz»
暗いガーネット色。ニワトコの実やブルーベリーといった黒いベリー、オレンジのコンフィ、キウイ、コーヒー、革の香り。
焦点が定まっており、繊細。しっかりとしたタンニンとアロマティックさ溢れる余韻。
Domaine Chappaz
スイスワインのアイコン、マリ・テレーズ・シャパーズ
マリ・テレーズ・シャパーズは、スイス南部ヴァレー州フュリィに本拠を置く、スイスを代表するトップ生産者である。ヴァレーの急峻な斜面に広がる畑から、土地の個性とブドウ本来の力を最大限に引き出したワインを生み出し、スイス国内のみならず世界的にも高い評価を受けている。
ドメーヌを率いるのは、マリ・テレーズ・シャパーズ女史。現在は約10haの畑を耕作し、ビオディナミを基盤とした自然な栽培と、極力介入を抑えた醸造によって、透明感と生命力に満ちたワインを造り続けている。
ドメーヌの歴史は1940年代に遡る。当時、ヴァレー州議会の議長を務めていたマリ・テレーズの大叔父モーリス・トロワイエ氏が、現在の拠点となる邸宅を建築した。この建物は著名人のレセプションや友人を招く場として使われ、同時にワインカーヴとしても利用されていた。著述家で詩人でもあった叔父モーリス・シャパーズ氏も、この邸宅に滞在していたという。
大叔父の他界後、この邸宅はシャパーズ家に相続され、マリ・テレーズ自身も1987年からこの地に居を構えるようになる。現在ドメーヌがリリースする「Président Troillet」と名付けられたキュヴェは、この大叔父へのオマージュとして造られている。
マリ・テレーズは、当初からワイン造りを志していたわけではない。若い頃は助産師を目指して勉学に励んでいたが、インターンを終えた段階で、その環境や階級的な構造に違和感を抱くようになる。転機となったのは17歳の時である。父が所有していた区画「Charrat Les Esserts」を、彼女自身が面倒を見ることを条件に引き継ぐことになった。この経験が、栽培家としての自覚を芽生えさせるきっかけとなる。
その後、シャモソンのアルベール・ビオラで約1年間修行し、シャンジャンの栽培醸造学校へ進むための準備コースを受講。栽培醸造学の上級課程を修了した後、州立醸造所で6年間働きながら、自身の区画も耕作した。何もかもが手探りの時期でありながら、彼女は自ら信じるワイン造りを模索し続けた。
1987年に畑を相続したものの、その年に収穫したブドウはすべて売却。翌1988年が、マリ・テレーズ自身が醸造まで手掛けた最初のヴィンテージとなる。さらに1989年7月には娘プランヴェラが誕生し、その2カ月後の9月にドメーヌを正式に開業した。当初の所有畑はわずか1.5haだったが、その後少しずつ畑を広げ、現在では約10haを所有するまでに成長している。
その評価は早くから確立された。1996年にはゴー・ミヨ誌の「Vigneronne de l’année」に選出。2016年には「スイスワインのアイコン」として、ベスト醸造家TOP100にも選ばれている。こうした輝かしい実績は、マリ・テレーズ・シャパーズがスイスワインの品質と存在感を世界に示してきたことを物語る。
ドメーヌの哲学は、土地を深く愛し、そのテロワールとブドウを最大限に尊重することにある。土壌、気候、ヴィンテージ、周囲の環境、そして栽培醸造家を、ワインを形作るメッセンジャーとして捉え、それらを開花させる職人でありたいと考えている。人為的にワインを作り込むのではなく、土地が持つ声を引き出すことこそが、彼女のワイン造りの本質である。
畑では、人工合成薬剤や化学肥料を使用しない。ハーブミックス、自家製堆肥、ビオディナミのプレパラシオンを用い、土壌と生態系の健全性を重視している。銅についても、天然由来でありながら使用量を1haあたり3kg以下に抑え、環境への負荷を最小限に留めている。
1997年にローヌのドメーヌ・シャプティエを訪れたことをきっかけに、マリ・テレーズはビオディナミ農法の採用を決意する。環境、土壌、生物多様性をより深く尊重できる栽培へと徐々に転換し、2003年にはすべての畑でビオディナミへの移行を完了した。現在はDemeterおよびBio Bourgeon Suisseの認証を取得している。
醸造においても、自然なアプローチが徹底されている。発酵には自然酵母を使用し、糖分や酵素などは添加しない。SO2の使用も一部のワインに限られ、ブドウと土地の表現をできるだけ純粋な形で瓶詰めすることを重視している。
マリ・テレーズ・シャパーズのワインは、単なる自然派ワインという言葉では収まらない。ヴァレーの急斜面がもたらす緊張感、スイス固有品種や国際品種が持つ個性、ビオディナミによる生命力、そして彼女自身の感性が重なり、極めて精密で深みのある味わいを生み出している。
スイスワインの可能性を世界へ示した偉大な造り手。マリ・テレーズ・シャパーズは、土地への敬意、自然との調和、そして職人的な探求心によって、ヴァレーのテロワールを最も美しく表現する生産者のひとりである。