Roc Breia〜ブルゴーニュの新たなステージ〜

Roc Breia

彗星のように現れ話題性も相まって人気をかっさらったロック・ブレイア。超名門ヴァンサン・ダンセールの息子でドメーヌの中核を担うテオ・ダンセールが造るVdFです。これを聞いているとエリートへの道が約束されているように感じますが、アペラシオン外のブライという土地を選び、試験的にヴィオニエ などを植樹するなど現状に満足せず突き進むハングリー精神が備わっているように思えます。強気な値段設定から自信のみなぎる若さとエネルギーが感じ取れ、今後のスターとしての期待を抱かずにはいられません!

 

テオのロック・ブレイアとしてのファーストヴィンテージである2021年のピノ、シャルドネを試飲しましたが、なんとも目新しいスタイルに少し戸惑いがありました。勢いのある若手のワインとは思えないほどに落ち着いており、軽やか。肩の力を抜いた優しいキャラクターの印象を受けました。通常のブルゴーニュのエレガントや軽やかとは少し違い「浮遊感」のような不思議なファーストインプレッションには一気に引き込まれる魅力があります。

淡い色のピノ・ノワールは小粒の赤果実や小梅、スミレの華やかな香りに土のニュアンス。口に含むと旨みの乗った軽やかさ、シャンボールを思わせるような広がりのある優しく丸い酸を持ちシームレスで流れるようなタンニン。雲のように掴みどころがなく優しく染み渡るワインです。

シャルドネはシトラスや青リンゴ、程よい樽感とヨーグルトのような乳製品のニュアンス。辛口ですが花の蜜のような上品な甘さを感じつつ、軽やかで引き締まった酸が余韻にまで長く伸びます。わずかな苦味を伴うミネラルが骨格を縁取ります。地域は違いますがサンソニエールのシュナン・ブランのような軽やかで優しい柔らかな印象。

 

従来のブルゴーニュとはすこし違った捉え所のないワインと感じましたが、これを造れる生産者が他にいるのかと思わされる唯一無二なスタイルには若き才能の末恐ろしさを感じさせられます。今後さらにラインナップは増えていくことと思われますが、日本に入ってくることがあれば是非体験してみたいと思います。