ブラウフレンキッシュ / Blaufränkisch

Blaufränkisch

「青いフランク人」の名を持つ中央ヨーロッパの旗手——オーストリア・ブルゲンラントが証明する、ガメイツヴァイゲルトの親品種の底力

ブラウフレンキッシュは、オーストリアを代表する黒ブドウ品種で、ドイツ語で「青いフランク人」を意味します。「ブラウ(青)」は果皮の深い青紫色を、「フレンキッシュ(フランク的な)」は中世に優良なブドウ品種を指してシャルルマーニュ大帝(フランク族の王)にちなんで用いられた形容詞に由来します。ハンガリーでは「ケクフランコシュ(Kékfrankos)」、ドイツでは「レンベルガー(Lemberger)」、スロヴァキアやチェコでは「フランコフカ(Frankovka)」として知られており、かつてのハプスブルク帝国の版図とほぼ重なる形でこの品種は分布しています。ブルゲンラントは1920年の国民投票によりハンガリーからオーストリアへ移管されたという歴史的経緯を持つため、ブラウフレンキッシュはまさに「オーストリア=ハンガリー双方の品種」といえます。その起源は中世まで遡るとされ、1862年にウィーンで正式に「ブラウフレンキッシュ」として記録されています。

品種的な立場も特筆すべきで、ガメイツヴァイゲルト(1922年にフリードリヒ・ツヴァイゲルト博士がサン・ローランと交配して作出)の親品種でもあります。現在の栽培はオーストリアのブルゲンラント、ハンガリー北西部のソプロンやエゲル、ドイツのヴュルテンベルク、スロヴェニア、クロアチアなど中央・東欧各地に広がっています。主要産地のブルゲンラントは「パンノニア平原」の温暖な気候とノイジードル湖の調節効果に恵まれ、なかでも「ブラウフレンキッシュラント」とも呼ばれるミッテルブルゲンラントはこの品種の牙城として世界的な評価を確立しています。

黒胡椒と野生のベリー、石灰岩から片岩まで——土壌を100%ワインに翻訳するブラウフレンキッシュのテロワール感受性

ブラウフレンキッシュのワインは、ブラックチェリーや野生のベリー、プラムの果実アロマに黒胡椒やスパイス、アースのニュアンスが重なる力強いスタイルが特徴です。高い酸としっかりとしたタンニンが骨格を形成し、若いうちは硬質な印象を与えますが、熟成によってベルベットのような滑らかさが現れます。ドリ・ムールが語る「ブラウフレンキッシュは土壌を100%ワインに翻訳できる品種だ」という言葉通り、産地ごとのテロワールへの感受性が高く、ミッテルブルゲンラントの重粘土がより力強くフルボディなスタイルを、アイゼンベルク(ズュートブルゲンラント)の鉄分豊富な片岩がよりスパイシーで引き締まったスタイルを、ライタベルクの石灰岩・泥灰土がよりミネラル感の豊かなスタイルを、カルヌントゥムの砂質石灰岩がより繊細で緊張感のあるスタイルを生み出します。5〜10年の熟成ポテンシャルを持つキュヴェも多く、オーストリア赤ワインを代表する長期熟成品種として国際的な注目が高まっています。