【完全版】 スペインワインの品種一覧|テンプラニーリョ・ガルナッチャ・アルバリーニョほか主要土着品種18種の特徴・味わい・産地を徹底解説

 

【完全版】 スペインワインの品種一覧|テンプラニーリョ・ガルナッチャ・アルバリーニョほか主要土着品種18種の特徴・味わい・産地を徹底解説-Wine Library-

【完全版】
スペインワインの品種一覧|テンプラニーリョ・ガルナッチャ・アルバリーニョほか主要土着品種18種の特徴・味わい・産地を徹底解説


スペインはブドウ栽培面積で世界第1位、生産量では世界第3位を誇るワイン大国です。その最大の武器は、フランスやイタリアと同様に「土着品種の豊かさ」にあります。スペインには600種以上のブドウ品種が登録されており、テンプラニーリョ・ガルナッチャ・アルバリーニョといった固有品種が、リオハからガリシアまで各地で独自の表情を見せます。本記事では、スペインワインの主要18品種を赤・白に分けて、特徴・味わい・主な産地・代表ワインとともに一覧で解説します。

スペインワイン品種の3つのポイント
① 栽培面積1位は白のアイレン(ラ・マンチャの大量生産用)だが、品質面の主役はテンプラニーリョ
② ガルナッチャ=フランスのグルナッシュ、モナストレル=ムールヴェドル、マカベオ=ヴィウラなど同一品種が地域で名前を変える
③ 2000年代以降、ガリシアのアルバリーニョ・ゴデーリョ、ビエルソのメンシアなど「ニュー・スペイン」の土着品種が世界的評価を獲得

スペインワイン品種の読み解き方——同じ品種が地域で名前を変える

スペインワインの品種を理解するうえで最初につまずくのが、同じ品種が地方ごとに別の名前で呼ばれるという点です。テンプラニーリョはリベラ・デル・ドゥエロでは「ティント・フィノ」、トロでは「ティンタ・デ・トロ」、ペネデスでは「ウル・デ・リェブレ」、ポルトガルでは「ティンタ・ロリス」と呼ばれます。また、フランスやイタリアと共通の品種がスペイン名を持つケースも多く、これを整理しておくと産地をまたいで理解しやすくなります。

スペイン名 別名・国際名 備考
テンプラニーリョ ティント・フィノ/ティンタ・デ・トロ/ウル・デ・リェブレ/センシベル スペインを代表する黒ブドウ
ガルナッチャ・ティンタ グルナッシュ(仏)/カンノナウ(伊サルデーニャ) スペイン原産。フランス南部へ伝播
モナストレル ムールヴェドル(仏)/マタロ(豪・米) スペイン南東部原産
カリニェナ カリニャン(仏)/マスエロ(リオハ)/サムソ(カタルーニャ) アラゴン州カリニェナが原産地
マカベオ ヴィウラ(リオハ)/マカブー(仏ルーション) カバの主要品種
メンシア (ポルトガルのジャエンと近縁) ビエルソ・リベイラ・サクラの土着赤品種

スペインワインの赤ワイン主要品種10種

① テンプラニーリョ(Tempranillo)——スペインの絶対的主役

テンプラニーリョはスペインを象徴する黒ブドウで、リオハとリベラ・デル・ドゥエロという二大銘醸地の主役です。名前は「早い(temprano)」に由来し、他品種より早く熟すことを意味します。ストロベリー・ドライチェリー・プラム・タバコ・レザーのアロマを持ち、酸とタンニンは中程度で、アメリカンオーク樽熟成によるココナッツ・バニラの甘い香りと結びついた「リオハ・スタイル」が世界的に知られています。リベラ・デル・ドゥエロでは標高800mの高地・寒暖差の大きい環境から、より色濃く力強いスタイルになり、ベガ・シシリアやピングスといったスペイン最高峰のワインを生みます。

主な産地:リオハ/リベラ・デル・ドゥエロ/トロ/ナバーラ味わい:ストロベリー・革・タバコ/樽熟成でココナッツ・バニラ合う料理:イベリコ豚・仔羊の炭火焼・生ハム

② ガルナッチャ・ティンタ(Garnacha Tinta)——スペイン原産の国際品種

ガルナッチャ(フランス名グルナッシュ)はスペイン北東部アラゴン州が原産とされ、そこからフランス南部・サルデーニャへ広まった品種です。高温乾燥に強く、ラズベリー・イチゴ・白胡椒・ハーブのアロマと豊かな果実味・高いアルコール・柔らかいタンニンが特徴。長らくブレンド用・ロゼ用の「脇役」と見なされてきましたが、2000年代以降、マドリード西のグレドス山脈(シエラ・デ・グレドス)やアラゴンのカラタユー・カンポ・デ・ボルハの樹齢80〜100年の古木(ビエハス・ビニャス)から、ブルゴーニュを思わせる繊細で香り高いガルナッチャが生まれ、世界的に再評価されています。ナバーラ・リオハのロゼ(ロサード)の主体品種でもあります。

主な産地:アラゴン(カンポ・デ・ボルハ・カラタユー)/グレドス/ナバーラ/プリオラート味わい:赤い果実・白胡椒・高アルコール・柔らかい/古木は繊細でエレガント

③ モナストレル(Monastrell)——南東部の太陽の品種

フランスのムールヴェドルと同一品種で、スペイン南東部(フミーリャ・イエクラ・アリカンテ)が原産。晩熟で多くの熱を必要とし、ブラックベリー・革・タバコ・土のアロマと濃い色調・しっかりしたタンニンを持ちます。フミーリャは砂質土壌でフィロキセラの被害を免れた自根の古木が多く残り、非常にコストパフォーマンスの高い濃厚な赤を産出します。近年は過抽出を避けたエレガントなスタイルも増えています。

主な産地:フミーリャ/イエクラ/アリカンテ/バレンシア味わい:濃厚・革・土・高アルコール・コスパ抜群

④ メンシア(Mencía)——「ニュー・スペイン」の主役

メンシアはスペイン北西部ビエルソ(カスティーリャ・イ・レオン州)とリベイラ・サクラ(ガリシア州)の土着品種です。長らく軽い地酒用と見なされていましたが、2000年代にラウル・ペレスをはじめとする「ニュー・スペイン」運動の造り手たちが、急斜面の古木・片岩や花崗岩の土壌・低介入醸造によって、その真価を引き出しました。ブラックベリー・スミレ・黒胡椒・鉄分のミネラルと、しなやかな酸と繊細なタンニンを併せ持ち、「スペインのカベルネ・フラン」「北ローヌ的」とも評されます。現在、スペインで最も国際的な注目を集める赤品種のひとつです。

主な産地:ビエルソ/リベイラ・サクラ/バルデオラス味わい:スミレ・黒胡椒・ミネラル・しなやか代表生産者:ラウル・ペレス

▶ ラウル・ペレス(ビエルソ)一覧を見る

⑤ カリニェナ(Cariñena/マスエロ)/⑥ グラシアーノ(Graciano)——リオハの名脇役

カリニェナ(フランス名カリニャン)はアラゴン州のカリニェナが原産地で、リオハでは「マスエロ」、カタルーニャでは「サムソ」と呼ばれます。高い酸と強いタンニン、濃い色調を持ち、テンプラニーリョやガルナッチャのブレンドに骨格を加えます。プリオラートでは古木のカリニェナ(サムソ)が単一でも高品質なワインを生みます。グラシアーノはリオハ固有の希少品種で、栽培は難しいものの、フローラルな香り・高い酸・強い色素をブレンドに加え、長期熟成に不可欠な存在とされています。

⑦ ボバル(Bobal)/⑧ プリエト・ピクード/⑨ トロウサドゥーラ——注目の在来品種

ボバルはバレンシア州ウティエル・レケーナの品種で、スペインで2番目に栽培面積が広い黒ブドウでありながら長年バルク用でした。近年、高標高の古木から酸とミネラルの効いた赤・ロゼが生まれ注目されています。プリエト・ピクードはレオン地方、トロウサドゥーラ(ソウソン)はガリシアの希少品種で、いずれもニュー・スペインの造り手が復活させつつあります。

⑩ 国際品種(カベルネ・ソーヴィニヨン/メルロ/シラー)

1980年代以降、リベラ・デル・ドゥエロ・ペネデス・ナバーラ・プリオラートで国際品種の導入が進みました。ベガ・シシリア「ウニコ」はテンプラニーリョにカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドすることで知られ、プリオラートではガルナッチャ・カリニェナにシラーやカベルネを加えるスタイルが定着しています。

スペインワインの白ワイン主要品種8種

① アルバリーニョ(Albariño)——スペイン白の世界的スター

アルバリーニョはガリシア州リアス・バイシャスの土着白品種で、現在スペインで最も国際的に成功した白ブドウです。大西洋に面した多雨・冷涼な気候から、白桃・アプリコット・レモン・白い花のアロマと、高い酸・塩気を帯びたミネラル感を持つ、非常にフレッシュな辛口白が生まれます。「ペルゴラ(棚仕立て)」と呼ばれる高い棚で栽培され、湿気からブドウを守るのが伝統。魚介との相性は世界最高クラスと評され、日本の和食にもよく合います。

主な産地:リアス・バイシャス(ガリシア)味わい:白桃・レモン・塩気・高い酸合う料理:魚介・貝・寿司・天ぷら

② ゴデーリョ(Godello)——復活した高貴白品種

ゴデーリョはガリシア州バルデオラスとビエルソの土着白品種で、1970年代には絶滅寸前まで減少しましたが、有志の復興プロジェクトにより蘇りました。洋梨・白桃・フェンネル・ミネラルのアロマに、ブルゴーニュ白を思わせる厚みとテクスチャーを持ち、樽熟成にも耐えます。アルバリーニョより骨格があり熟成能力も高いことから、「スペインで最も偉大な白品種」と評する専門家も少なくありません。ラウル・ペレスのゴデーリョは国際的な高評価を受けています。

主な産地:バルデオラス/ビエルソ/モンテレイ味わい:洋梨・ミネラル・厚み・熟成能力

③ ベルデホ(Verdejo)/④ アイレン(Airén)

ベルデホはカスティーリャ・イ・レオン州ルエダの品種で、グレープフルーツ・フェンネル・青草のアロマとほろ苦い余韻が特徴。ソーヴィニヨン・ブランに似た爽やかさを持ち、スペイン国内で最も飲まれる辛口白のひとつです。アイレンはラ・マンチャを中心に広大な面積を占める品種で、かつては世界一の栽培面積を誇りました。大半はブランデー(ブランデー・デ・ヘレス)の原料や大量生産ワイン用ですが、近年は高品質な単一畑アイレンも登場しています。

⑤ マカベオ(Macabeo/ヴィウラ)/⑥ チャレッロ/⑦ パレリャーダ——カバの3品種

カタルーニャの伝統的スパークリング「カバ」は、マカベオ(果実味と骨格)・チャレッロ(酸と熟成能力)・パレリャーダ(繊細な香りとフレッシュさ)の3品種のブレンドが基本です。マカベオはリオハでは「ヴィウラ」と呼ばれ、樽熟成させた伝統的なリオハ白ワインの主体品種でもあります。近年のカバはシャルドネやピノ・ノワールの使用も認められ、最上級カテゴリー「カバ・デ・パラヘ・カリフィカード」も設けられました。

⑧ パロミノ(Palomino)——シェリーの品種

パロミノはアンダルシア州ヘレスで栽培される白品種で、シェリー(ヘレス)の原料の大半を占めます。それ自体は中性的で酸も低い品種ですが、アルバリサ(白い石灰質土壌)とフロール(産膜酵母)、ソレラ・システムという独自の要素と結びつくことで、フィノ・マンサニーリャ・アモンティリャード・オロロソという世界に類のないワインを生み出します。甘口シェリーにはペドロ・ヒメネス(PX)とモスカテルが使われます。

産地×品種マップ

産地(DO/DOCa) 赤ワイン品種 白ワイン品種 代表スタイル
リオハ テンプラニーリョ/ガルナッチャ/マスエロ/グラシアーノ ヴィウラ(マカベオ) 樽熟成の赤(クリアンサ〜グラン・レセルバ)
リベラ・デル・ドゥエロ ティント・フィノ(テンプラニーリョ)/カベルネ — 濃厚・高標高・長熟
プリオラート ガルナッチャ/カリニェナ(古木)/シラー — リコレラ土壌の凝縮した赤
リアス・バイシャス(ガリシア) — アルバリーニョ 塩気のある辛口白
ビエルソ/リベイラ・サクラ メンシア ゴデーリョ ニュー・スペインの繊細な赤
ルエダ — ベルデホ 爽やかな辛口白
フミーリャ/イエクラ モナストレル — 濃厚・コスパ
アラゴン(カラタユー等)/グレドス ガルナッチャ(古木) — 古木の繊細なガルナッチャ
ペネデス(カバ) —/ガルナッチャ マカベオ・チャレッロ・パレリャーダ 伝統製法スパークリング
ヘレス(アンダルシア) — パロミノ/ペドロ・ヒメネス シェリー(酒精強化)
トロ ティンタ・デ・トロ — 極めて濃厚・高アルコール
ナバーラ ガルナッチャ/テンプラニーリョ — ロサード(ロゼ)の名産地

産地の詳細はスペインワインの産地一覧をご覧ください。

品種からスペインワインを選ぶ

好みの味わい 品種 おすすめ産地 価格目安
樽熟成のクラシックな赤 テンプラニーリョ リオハ(レセルバ・グラン・レセルバ) 2,000〜15,000円
濃厚で力強い赤 ティント・フィノ/ティンタ・デ・トロ リベラ・デル・ドゥエロ/トロ 3,000〜50,000円
繊細でエレガントな赤 メンシア/古木ガルナッチャ ビエルソ/リベイラ・サクラ/グレドス 3,000〜10,000円
コスパ重視の濃い赤 モナストレル フミーリャ/イエクラ 1,500〜3,000円
凝縮したミネラルの赤 ガルナッチャ/カリニェナ プリオラート 4,000〜20,000円
魚介に合う爽やかな白 アルバリーニョ リアス・バイシャス 2,500〜5,000円
厚みのある白・樽熟成 ゴデーリョ バルデオラス/ビエルソ 3,000〜8,000円
ハーブ香る辛口白 ベルデホ ルエダ 1,500〜3,000円
コスパの高い泡 マカベオ・チャレッロ・パレリャーダ カバ(ペネデス) 1,500〜5,000円
食前酒・個性派 パロミノ(シェリー) ヘレス 2,000〜10,000円

まとめ|スペインワイン品種 早見表

品種 色 別名 主な産地 特徴
テンプラニーリョ 赤 ティント・フィノ/ティンタ・デ・トロ リオハ/リベラ・デル・ドゥエロ/トロ スペインの主役。革・タバコ・樽のバニラ
ガルナッチャ・ティンタ 赤 グルナッシュ(仏) アラゴン/グレドス/プリオラート/ナバーラ 赤い果実・高アルコール。古木は繊細
モナストレル 赤 ムールヴェドル(仏) フミーリャ/イエクラ 濃厚・革・土・コスパ抜群
メンシア 赤 — ビエルソ/リベイラ・サクラ ニュー・スペインの主役。スミレ・ミネラル
カリニェナ 赤 カリニャン/マスエロ/サムソ アラゴン/リオハ/プリオラート 高酸・強タンニン。古木が高品質
グラシアーノ 赤 — リオハ 希少。フローラル・高酸・長熟に貢献
ボバル 赤 — ウティエル・レケーナ 栽培面積2位。高標高の古木が注目
カベルネ/メルロ/シラー 赤 国際品種 リベラ/ペネデス/プリオラート ブレンドで骨格を補強
アルバリーニョ 白 — リアス・バイシャス 白桃・塩気・高い酸。魚介に最適
ゴデーリョ 白 — バルデオラス/ビエルソ 洋梨・ミネラル・厚み。長熟可能
ベルデホ 白 — ルエダ グレープフルーツ・ほろ苦い余韻
アイレン 白 — ラ・マンチャ 広大な面積。大量生産・ブランデー原料
マカベオ 白 ヴィウラ カバ/リオハ カバの主体。リオハ白の伝統品種
チャレッロ/パレリャーダ 白 — カタルーニャ カバの構成品種(酸/繊細さ)
パロミノ 白 — ヘレス シェリーの品種。フロールとソレラで変化
ペドロ・ヒメネス(PX) 白 — ヘレス/モンティーリャ 極甘口シェリー。レーズン・黒糖

スペインワインの品種は、リオハのテンプラニーリョという王道に加え、ガリシアのアルバリーニョ・ゴデーリョ、ビエルソのメンシア、古木のガルナッチャといった「ニュー・スペイン」の潮流が加わり、かつてないほど多様になっています。産地の詳細はスペインワインの産地一覧をあわせてご覧ください。

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