【テイスティング記録】ムルソーのニュー・スター誕生?ドメーヌ・ブリュネ=ランドン Domaine Brunet Randon

ムルソーのニュー・スター?ドメーヌ・ブリュネ・ランドン - Wine Library

ブルゴーニュのムルソーにおいて静かに注目度を高めている生産者が、セシル・ブリュネ・ランドン率いるドメーヌ・ブリュネ=ランドンです。2003年に ブドウ栽培・醸造の BTS、2005年に DNO(国家醸造資格)、さらに2006年に ディジョンでブドウ・ワイン・テロワールの修士号 を取得しています。

 

卒業後はブルゴーニュのDomaine Parentで経験を積んだ後、南アフリカのHamilton Russell Vineyards、アメリカのLittoraiDomaine Drouhin OregonCayuse Vineyardsなどで経験を積み、約10年間にわたり海外で実践を重ねました。その国際的な経験を携えて2019年にブルゴーニュへ帰還し、母方の祖父母が所有していたムルソーの畑を継承するかたちでドメーヌを設立しています。

 

ドメーヌの所有面積は約3ヘクタールと小規模ながら、中心となる区画はムルソー村名「Les Limozin」と、一級畑「Les Charmes-Dessus」「Les Genevrières」です。いずれもムルソーを代表する優良クリマであり、テロワールの表現力が問われる畑として知られています。初ヴィンテージは2022年で、生産本数はまだ非常に限られており、日本国内での流通も限定的です。

 

醸造はブルゴーニュの伝統的手法をベースに、樽発酵・樽熟成(約12か月)を行っています。一方で、海外経験に裏打ちされた精密でクリーンな醸造管理が特徴で、過度な抽出や新樽偏重に頼ることなく、果実の純度と石灰質由来のミネラル感を重視しています。亜硫酸の使用は必要最小限に抑えられ、質感はしなやかで透明感があります。一説では、元ルフレーヴの醸造担当を務めた、アントワーヌ・ルプティが醸造に手を貸しているそうです。ムルソーらしいヘーゼルナッツやバターのニュアンスを備えつつも、全体は引き締まった酸が骨格を支え、重さを感じさせません。

 

今後の躍進がとても楽しみな期待のドメーヌですが。海外の一部市場ではベルナール・ボナンと並び評されるなど、早くも高い評価を手にし始めています。

【テイスティング・ノート】

ムルソーらしい力強い樽のニュアンスが前面に感じられ、バニラやトースト、ほのかなヘーゼルナッツの香ばしさが広がります。一方で、どこかコンドリューを思わせるジンジャーのようなスパイシーなニュアンス、白桃、白い花のようなエキゾチックな香りも重なり、華やかさと厚みを兼ね備えた印象です。豊かな果実味と滑らかな質感が調和し、余韻にはスパイスとミネラルが静かに続きます。次世代のムルソーの可能性を感じさせる表情豊かなワインに思わずうっとりとしてしまいます。