ヴォワラン・ジュメル / Voirin-Jumel

Voirin-Jumel
戦後のクラマン村でジャン・ヴォワランが始めた自家瓶詰め——ヴォワラン家とジュメル家が融合して誕生した小さなレコルタンが、コート・デ・ブラン11村の区画別醸造で白亜テロワールの純粋な表情を引き出す
ヴォワラン・ジュメルはシャンパーニュのコート・デ・ブラン、グラン・クリュ村クラマンに拠点を置くレコルタン・マニピュラン(自家醸造農家)です。第二次世界大戦後、ジャン・ヴォワランがそれまでのブドウ販売から自家瓶詰めへと転換したことが始まりで、並行してルネ・ジュメルとその妻ポレット・リショムもコート・デ・ブランに畑を築きました。1970年代初頭、フランソワーズ・ジュメルとその夫ジル・ヴォワランが「ヴォワラン・ジュメル」の名で瓶詰めをスタート。初年度の出荷はわずか約1万本という小さな出発でした。現在はパトリックと妻ヴァレリー、娘アリスが経営を引き継ぎ、二家が融合した家族経営の伝統を守り続けています。
畑は11村にまたがる合計11haで、コート・デ・ブランの主要グラン・クリュが勢揃いします。最大の比率を占めるのはショワイィ(約20%)とヴェルヌイユ(約15%)で、クラマン・アヴィズ・オジェ・ヴェルテュ・マルイユ・シュル・アイがそれぞれ約10%ずつ。コート・デ・ブラン特有の白亜(チョーク)質土壌が主体で、バレ・ド・ラ・マルヌ側は粘土質も混じります。合成農薬・化学肥料・除草剤を使わない有機的栽培を実践しており、テロワールの純粋な表情を引き出すことを最優先に掲げます。全生産物はドメーヌで瓶詰め・販売される直接販売スタイルを貫いています。
区画別単独醸造・極低ドザージュ・3〜4年熟成——クラマンの白亜が刻むチョーキーなミネラルと、シャルドネの柑橘・アプリコットが溶け合うクリーミーで精緻な泡
醸造はテロワールの個性を最大限に生かすため、収穫時に各区画のブドウを個別に仕込む区画別単独醸造を徹底します。翌年1月に澱下げ・安定化を行った後、各タンクのスティル・ワインをテイスティングしてキュヴェの最終構成を決定。ドザージュは極めて低く抑え、瓶詰め後は最低3〜4年セラーで熟成させてからリリースします。レコルタン・マニピュランとしてすべての工程を一貫して管理することで、各区画のキャラクターを損なわない仕上がりを実現しています。
主要キュヴェは「グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン NV」と「キュヴェ555」の2種類です。「グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン」はシャルドネ100%・グラン・クリュ畑のみのブラン・ド・ブランで、通常2ヴィンテージをブレンドします。フローラルな花の香りと柑橘・アプリコット、クリーミーなテクスチャーと長く続く白亜のミネラル余韻が特徴です。「キュヴェ555」はドメーヌの住所(クラマン555番地リベラシオン通り)の名を冠した上位キュヴェで、より長い澱上熟成(シュール・リー)が生む焼いたブリオッシュ・スパイス・熟した果実の複雑なアロマと豊かなボディが魅力。また「ブリュット・ラサンブラージュ」はシャルドネとピノ・ノワールを半々でブレンドしたエントリーキュヴェで、バレ・ド・ラ・マルヌの粘土質区画が加わることで丸みのある果実感を与えます。有機的栽培とクラマングラン・クリュ白亜土壌の純粋なミネラルを体現する、コート・デ・ブランを代表する良心的な造り手です。