モノポール / Monopole
Monopole
単独所有が生む、テロワールの純粋な独白——ブルゴーニュが生んだ「一者の畑」という概念の意味と価値
モノポール(Monopole)とは、単一の所有者が畑を完全に独占所有し、そのすべてのブドウを自ら醸造・瓶詰めする形態を指します。ブルゴーニュでは一般的にひとつの畑を複数の所有者が分割して持つことが慣例となっているため、単独所有という形態は例外的に希少であり、特別な価値を持つ存在として扱われます。モノポールの場合、毎年ひとつの哲学と醸造スタイルがその畑に一貫して適用されるため、ヴィンテージごとの変化はテロワールと気候のみに帰結します。複数の所有者が混在する畑では生産者ごとに品質やスタイルが大きく異なりますが、モノポールではその変数が最小化されるという点で、テロワールの純粋な表現として意義を持ちます。
ブルゴーニュで最も著名なモノポールは、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティが単独所有するロマネ・コンティ(1.8ヘクタール)とラ・ターシュ(約6ヘクタール)です。同じくDRCが保有するラ・グランド・リュはドメーヌ・ラマルシュのモノポールで、クロ・ド・タールは1141年の創立以来一度も分割されることなく現在はフランソワ・ピノーが単独所有し続ける、ブルゴーニュでも最も歴史あるモノポールのひとつです。ミュジニー内の「クロ・デ・シュヴァリエ」区画はジャン・シャルトロンが、リュショット・シャンベルタン内の「クロ・デ・リュショット」はアルマン・ルソーがそれぞれ単独所有しており、グラン・クリュ内の一区画をモノポールとして保有するケースも存在します。
ブルゴーニュを超えて広がるモノポールの概念——シャンパーニュの「クロ・デュ・メニル」から世界の単独所有畑まで
モノポールという概念はブルゴーニュにとどまらず、フランスワイン全体に広がっています。シャンパーニュではメニル・シュル・オジェの「クロ・デュ・メニル」をクリュッグが単独所有しており、単一区画のシャンパーニュとして別格の評価を受けています。アルザスでは「クロ・サン=テュール」や「クロ・ヴィネ」など石壁で囲まれた単独所有の区画が複数存在し、ローヌでは「シャトー・グリエ」がヴィオニエのモノポールAOCとして著名です。またクロ・ド・ヴージョのように中世に石壁(クロ)で囲まれた畑が時代を経て複数に分割された例とは反対に、モノポールは単独所有という状態が維持・継承されてきた歴史そのものを体現しています。所有者が替わってもモノポールという形態が保たれ続けることが、この称号の本質的な価値を担保しています。