シャルム・シャンベルタン/Charmes Chambertin

Charmes-Chambertin
ジュヴレ最大の商業的グラン・クリュ——マゾワイエールとの一方通行の関係が生む、約30ヘクタールの複雑な多様性
シャルム・シャンベルタンはジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュで、1937年7月31日にAOCとして認定されました。この畑を理解するうえで欠かせないのが、隣接するマゾワイエール・シャンベルタンとの特殊な関係です。AOC規定上、マゾワイエールの生産者はワインをシャルム・シャンベルタンとして名乗ることが許されている一方、逆は認められていません。この「一方通行」の規定により、マゾワイエールの生産量の約95%がシャルム・シャンベルタンとして市場に出回ります。純粋なシャルム・シャンベルタンの面積は約12.24ヘクタールですが、マゾワイエールの約18.59ヘクタールを合わせた商業的なシャルム・シャンベルタンの総面積は約30.83ヘクタールに達し、ジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュの中でも最大規模の商業的アペラシオンとなっています。
畑はシャンベルタンとラトリシエール・シャンベルタンの東側(下方)、標高260〜285メートルの東向き斜面に位置します。石灰質・粘土の表土と鉄分を含む石灰岩の基盤がピノ・ノワールに果実の豊かさと丸みをもたらします。シャルム(北部・上部)とマゾワイエール(南部)では土壌がやや異なり、マゾワイエール側はコンブ・グリザールからの礫が多く含まれる点が特徴です。所有者の数はジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュ群の中でも最も多く、ドメーヌ・アルマン・ルソー(約1.47ヘクタール、3区画、マゾワイエール含む)、ドメーヌ・デュガ・ピィ(0.72ヘクタール、2003年よりビオロジック・ビオディナミ)、ドメーヌ・デュジャック(0.70ヘクタール、シャルム0.31ha+マゾワイエール0.38ha)が代表的な所有者として知られています。このほかドメーヌ・ポンソ、ジョゼフ・ロティ、クリスチャン・セラファン、フェヴレ、ジョゼフ・ドルーアンなど多数の名門が区画を持ちます。
バラとクランベリー、「最も優美なシャンベルタン群」——造り手選びが価値を決める、芳香と丸みのグラン・クリュ
シャルム・シャンベルタンのワインは、バラの花びらやクランベリー、赤系果実のアロマに丸みのあるタンニンが特徴で、ジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュ群の中でも特に芳香的でエレガントなスタイルを示す傾向があります。「シャルム(魅惑)」という名前の通り、若いうちからアプローチしやすい親しみやすさを持ちながら、優れたヴィンテージと産地の組み合わせでは10〜20年の熟成によって革やスパイスの複雑さが加わります。ルソーの「エーテルのように高貴で空気のようなスタイル」、デュガ・ピィの「TVV(超古樹)による凝縮感」、デュジャックの「全房発酵由来の複雑さ」という三者三様のアプローチが、この畑の多様な可能性を示しています。面積が広く所有者が多いゆえに造り手選びが特に重要になるこの畑は、信頼できる生産者の手にかかればシャンベルタンに迫る格を示す、ジュヴレ・シャンベルタンを探求するうえで欠かせない存在です。